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仮想通貨とコミュニティ-コミュニティの力と価値

コインチェックにおけるネム(NEM)のハッキング報道によって、ビットコイン以外の仮想通貨の名前を初めて聞いた人も多いらしい。だが、ビットコインはもちろん、多くの仮想通貨(「アルトコイン」ビットコイン以外の仮想通貨の総称)は、以前から活発なコミュニティによって利用や普及等の活動をしている。
ここでは仮想通貨コミュニティの特徴や価格等との関連をいくつか紹介しながら、その重要性について考えてみたい。

仮想通貨のコミュニティ評価

仮想通貨リストを表示するサイト「CoinGecko」では、暗号通貨(=仮想通貨)のリストとして、価格・時価総額・流動性・開発アクティビティ・コミュニティ・注目度の6要素とトータルスコアで、1,000種類以上の通貨リストを公表している。
このサイトが作成するのは「独自アルゴリズムをベースに各コインを相互にベンチマーク評価」したランキング数値だ。
CoinGecko: 暗号通貨チャートのあらゆる側面を網羅した360度的概要

このリストには「コミュニティ」についての説明として

強力なコミュニティを持つ仮想通貨は驚異的な成長を遂げる傾向がある。そのようなコミュニティは、新しいアイデアでの貢や献機能追加の提案を行い、取引量を増加させて市場の拡大成長傾向を示唆するものである。(例:reddit、Facebookなど)

と記載され、コミュニティ加入者や公式サイト購読者数、フェイスブックのいいね!数、ツイッターのフォロワー数等から、コミュニティ要素(%)を算出している。

このコミュニティ要素が通貨の総合評価に大きな影響を与えている場合もある。
例えば時価総額44位のドージコイン(DOGE;Dogecoin)は2013年公開だが、可愛い日本犬の通貨キャラクターが冬期五輪ジャマイカチームの寄付等で有名になり、人気の仮想通貨となった。
コミュニティ(利用者)数は108,739人、ツイッターフォロワーが20万人を越えており、コミュニティ要素68%の8位によって、総合順位が19位になっている。
逆に時価総額22位のポピュラスは、需要が企業中心で利用は進んでいるが、コミュニティ参加者がないことからコミュニティ要素が約8%と低く、総合順位は243位になっている。
時価総額でのランク付けが重視されがちな仮想通貨だが、発行枚数や取引所上場等で価格変動の大きい時価総額とは別に、こうしたランク付けも注目だ。

CoinGeckoは、サイト上で「アルトコインの将来性を定量的かつ定性的にランク付けするために必要な全てのデータを集めることを目指している」として、独フンボルト大など、学術利用にもデータ提供しているサイトだ。(日本の同種サイト「コインリスト」には、CoinGeckoリストにはない通貨も含め1,300種類近いコインランキングが掲載されている。
仮想通貨の価格・チャート・相場情報 | コインリスト
【本文中のCoinGecko掲載数値は2018年1月31日の表示数値】

コミュニティの通貨価値に占める重要性

仮想通貨は、需給以外にその通貨が持つ機能性や用途による評価も重要な要素として価格形成されている。また、通貨の認知度を高めるコミュニティの活発さ、利用者数なども通貨自体の評価に好影響を与える。

実績を持つ主体(個人・企業等)が新規発行した仮想通貨は、発行当初から高い価格で取引されるが、大規模コミュニティで送金手段として使われるなどの良好なコミュニティ情報がホワイトペーパー【※1】で判明すれば、該当コミュニティの通貨利用が期待できるとして、発行時から高価格になることがある。
さらに、発行後や取引所上場後でもコミュニティ内での継続的購入等が考えられ、コミュニティが付随する新規通貨発行は注目度が高い。
【※1】ホワイトペーパーは、通貨の企画や構想、そして技術情報等、発行通貨に関する網羅的な公開文書(大半が電子文書)で、新規ICO等には事前確認が推奨される。

コミュニティが活発な仮想通貨

昨年価格が急上昇した仮想通貨モナコインは日本で発行され、「2ちゃんねる」キャラクター“オマエモナー”を称した仮想通貨で、多くのコミュニティ参加者が、モナーAA(文字で形成されたアスキーアートキャラクター)に独特の愛着を持って利用している。

例えば代表的なコミュニティ「Monappy」では、モナコイン独自の多彩なキャラクターやオリジナル動画等を備え、サイト自体をモナー愛好者が楽しめる内容だ。
モナコインのコミュニティでは、価格高騰以前から2チャンネル等での投げ銭【※2】が一般的に使われていて、アニメ声優(兼歌手)の原田ひとみは、イベントでファンからモナコインの投げ銭を多数受けたことがコミュニティで話題になり、その後、彼女自身もモナコインに関するブログ等を公表するようになった。

モナコインは取引所ビットフライヤーへの上場から一気に知名度が上がり、価格も上昇したが、一方でコミュニティも含めたモナコイン自体の実用性も高く評価されていて、“モナコイナー”と呼ばれる支持者が普及推進の動きを支援し、活発なコミュニティの範囲も広い。

主なモナコイン利用関連のコミュニティサイト

「Monappy」

物品のオンライン購入可能なコミュニティ。ここでしか買えない「モナー」のキャラクター商品の在庫が多数あり、オリジナル画像等が人気になっている。
ギフト券交換やビットコインモールの利用、秋葉原のパソコン店等の利用も可能となっている。

「TIPMUSIC」

自作した曲の投稿サイト。聴取者から、作曲者にモナコインを含めた仮想通貨(NEM・XRPなども利用可能)でチップを送る機能がある。

「Ask mona」

2ちゃんねる上の投稿にモナコインを贈る掲示板で、好評だった投稿等に多額の「モナー投げ銭投下(寄付や投稿者間の投げ合い)」がある。

「monacoin麻雀」

オンラインマージャンゲーム「天鳳」を利用して、数年前から定期的(最近は隔週)に開催されている大会で、成績上位者には賞品(優勝者には賞200MONAと副賞)も与えられ、数百人の参加者がいる。

「Monazon.jp」

モナコインが利用できるウェブサービスや店舗の検索サイトで、支払いモナコインが使える実店舗以外にも、法律相談やイラスト作成など様々なサービスが登録されている。

この様な、ファンが世界最大級と自負するモナコインコミュニティ内には、コイン普及のために百万円単位の投げ銭を投じる(自腹)メンバーもいるようだ。
また、知名人の支持や関心表明がコミュニティ間で話題になり、その相乗効果もさらに人気化する一因となっている。例えば、ホリエモンこと堀江貴文は、仮想通貨には以前から関心を持ってイーサリアム等への関心を持っていたが、モナコインについて下記のTwitterで発言しており、他にも経済評論家の上念司氏や、筑波大の落合陽一氏等、モナコインに関して言及する知識人が多い。


モナコインのデータ

名称 モナコイン(モナーコイン)
単位 MONA
発行枚数 1億512万MONA
コミュニティ 3,352(Twitter)
時価総額 31,060,778千円
特徴 ライトコインをべースにした世界初のSegwit実装通貨といわれる

バージのデータ

名称 バージ
単位 XVG
発行枚数 約165億XVG
コミュニティ 243,981(Twitter)
時価総額 117,202,620千円
特徴 Tor、I2P技術を利用した匿名性の高い通貨

ドージコインのデータ

名称 ドージコイン
単位 DOGE
発行枚数 無制限
コミュニティ 203,255(Twitter)
時価総額 73,230,313千円
特徴 柴犬のキャラクターが親しまれている。発行枚数は1000億枚以上

XPのデータ

名称 XP
単位 XP
発行枚数 約2,260億XP
コミュニティ 15,809(Twitter)
時価総額 15,755,305千円
特徴 ゲーム等の各種経験値をコインと交換する。発行枚数はPOSのため概算

バージ(Verge;XVG)は、ツイッター上のコミュニティ活動が盛んな日本での知名度が高いことから評価が高い。(ツイッターフォロワーは約24万人で、CoinGeckoによる時価総額の全体順位33位に対し、コミュニティ順位が14位となり総合順位17位)

通貨コミュニティが開発者と一体となって盛り上がっている事例もある。
XPコインの発祥地は米国だが、ゲーム利用で通貨を普及させたいと言うコンセプトが受け入れられて、ゲーム愛好者から日本国内のコミュニティが活発になった仮想通貨だ。
著名ブロガー「イケダハヤト」氏の推奨でコイン価格も人気化したが、POSコイン(マイニングではなく、専用ウォレット保管で通貨がたまる仕組み)としての人気に加え、ゲームやイベントでの使用を念頭に開発されて将来性を期待されている点が特徴だ。
CoinGeckoのリスト数値以上に、Discordというプラットフォーム上での盛り上がりが目立っている。(当初の開発者の一時脱退後も開発が引き継がれ、現在は当初開発者も復帰している)

公式サイトで「(XPは)テレビゲーム、アクティビティ、スポーツ、教育、交流から、XPを得てオンラインゲームや市場等で利用出来る」とされ、XPの「Experience Points」という呼称自体、ゲームでは多用される“経験値”を意味し、購入支出以外に対象ゲームのステージクリア等でXPコインが配布されることも想定している。
ゲーム以外でも卒業や転職時とスポーツや地域イベント等で、経験によるXP割り当て、文字通り“経験値”の報酬としてXPコインが配布される。
特に、このコミュニティでは通貨開発者も積極的にコミュニティに参加(コミュニティにはクリエータールームがある)発言等を行っており、サイト作成は米国だが、日本版の各ルームでは24時間書き込みが絶えない活発な活動がみられる。

元々「XP Market」サイトでゲーム購入もできるが、支持者が利用可能な店舗の新規開拓やXPの利点をPRするなど、その活動をコミュニティで共有してフィードバックされている。XPの日本コミュニティ参加者は6,000人以上と言われ、「rain」というXPコインの定期配布により、無償でXPコインの入手が可能。(オンライン中限定)
こうしたコミュニティ活動は一般に価格低迷時には停滞することが多いが、XPコミュニティは価格帯に関わらず活発で、価格によらず所持コインを売却しない参加者も多いと言う。

この他にも、XPと同じdiscord上のコミュニティが活発なPACCOIN(PAC)や、モナコイン同様の国産コインBITZENY(ZNY)等、コミュニティ活動が話題の通貨は数多く存在する。

【※2】ネット上の投げ銭とは
ウエブにおける「ネット投げ銭」は、サイトの無料コンテンツ等を閲覧や利用したユーザーから、無料コンテンツ制作者に感謝の気持ちなどから寄付するサービス・仕組みの総称で、サイトに専用のボタンや1クリックで募金できる仕組みが多く、ソーシャルサービスのシェアクリック程度の気軽な感覚で出来、対価不要のコンテンツに対して謝意や活動支援の気持ちを示す積極的な行為とした利用が主となっている。

仮想通貨発行とコミュニティ

発行以降の価格上昇が注目されがちな仮想通貨だが、通貨発行前に「コミュニティ投票」機能が明記されることもあり、公式ツイッターなどの情報から通貨自体の特徴や将来性が分かる場合もある。
下表は、ツイッターのフォロワー数による仮想通貨ランンキング【1月18日現在】


(画像引用元:enigma.co.jp

また、最近増加している公共性の高い通貨シンディケーター(CND)、アインシュタニウム(EMC2)等の科学開発関連やボランティア系のFountain Connect(FTCトークン9月上場予定)等の寄付関連ICOなどは、仮想通貨取引と関連の薄いコミュニティからの高い注目を浴びていることもあり、価格上昇期待とは別にトークン利用や社会的貢献などの観点から、仮想通貨とコミュニティの関係は今後も重要になって行くだろう。

これからの仮想通貨とコミュニティ利用

最近の仮想通貨に関する情報は、人気の高まりもあって毎日のように新着情報(トークンのアップデートや取引所への新規上場、新規ICO案件)があり、これらの情報全てを個人が集め、その正確性等を判断するのは益々困難になっている。
このため、コミュニティに参加して多数の参加者が情報収集し、内容の吟味を含めて共有することが重要だと言う認識が広がっている。

仮想通貨取引に限らず、各種情報を投資判断基準として活用する限り内容精査は必須だが、仮想通貨では大規模で良好なコミュニティがあれば、情報確認作業が共同分担出来ることは他の投資判断にはない利点だ。勿論、コミュニティの多数が信じた情報が誤りだった事例もあり、鵜呑みにすることはもちろん避けたいのだが、コミュニティの情報力も通貨価値の一部分でもあり、その発展が当該通貨だけでなく、デジタルコイン全体の普及のカギを握るのかも知れないと考えている。

このコラムの執筆者

和気 厚至
和気 厚至

慶應義塾大学卒業後、損害共済・民間損保で長年勤務し、資金運用担当者や決済責任者等で10年以上数百億円に及ぶ法人資産の単独資金運用(最終決裁)等を行っていた。現在は、ゲームシナリオ作成や、生命科学研究、バンド活動、天体観測、登山等の趣味を行いつつ、マーケットや経済情報をタイムリーに取り入れた株式・為替・債券・仮想通貨等での資産運用を行い、日々実益を出している。


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