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ビットコインの価格変動とその要因

最近は値下がり傾向のビットコイン価格だが、創設以来の価格と比べると直近最安値でも驚異的な価格上昇だ。昨2017年の1年間でも、年初から約25倍という急上昇で仮想通貨取引への注目度が一気に高まっていた。
こうしたビットコイン価格の推移を創設時から振り返り、大きな価格変動の理由と経緯等と今後の展開について探ってみたい。

ビットコインの価格形成

2017年11月から12月の仮想通貨価格は、ビットコインだけではなく全般に人気化し、価格が高騰していた。
ビットコインの最高値は約220万円(19498.63ドル)だった(なお、こうしたビットコインの取引価格は、扱う取引所で異なっている)

一般的に、株式市場等の取引価格は最終的に売り手と買い手の需給によって決定するので、買い手が多ければ価格が上昇し、売り手が優勢なら下落する。
これは、ビットコイン等の仮想通貨も取引所取引では同じだ。しかし、株式の様に企業業績等の指標や貴金属・穀物等の実需の様な妥当な価格算定根拠がなく、それがこれまでも大きな価格変動を繰り返してきた原因の一つだろう。
では、これまでに何回もあったビットコインの急激な価格上昇を支えた要因と下落の理由は何だったのだろう。

ビットコイン創設以降の価格推移

ビットコインの価格は、2010年5月に初めて取引されたピザ2枚が1万ビットコインで購入された時(1ビットコイン【以下価格についてはBTCと略記】0.2円相当)に比べると、最高値では975万倍にもなった。
しかし、その上昇過程は決して順調ではなく、何回も暴騰・暴落を繰り返している。

最初の価格高騰は、2011年4月に米国のニュース雑誌「TIME」でビットコインの特集記事が掲載された時で、2月頃に初めて1BTC=1ドルに到達後に世界中の注目を集め、約3ケ月で10倍以上の値上がりとなった。
しかし、その年6月には取引所マウントゴックスのハッキング事件が起き、約7分の1まで価格が急落した。この時が、ビットコイン最初のバブルと呼ばれている。

その後は、特設カジノでのコイン利用や匿名性の高い取引を狙った違法性の高い取引増加もあり、2012年中は次第に価格が上昇し、12月には前年の高値を越える価格(年初の約4倍)まで到達している。
そして、翌2013年には、キプロスショックによる預金封鎖等(EUのキプロス金融支援条件で、全預金に最大9.9%課税措置がとられた)から、ロシアなどの富裕層が課税逃れ等で保有していた在キプロス資産の逃避先にビットコインを選んだと見られ、ビットコイン価格が10倍以上も急騰した。これが第2のビットコインバブルだ。

最高値では1BTC=2万円にまで達した価格は、米国内の違法取引摘発等で一時軟調となったが、中国における大規模取引所の開設やバイドゥ(百度;中国最大の検索・ECサイト)の決済取引導入等により、年末にかけて価格が年初の約60倍近くまで上昇した。
ところが、翌2014年に取引所マウントゴックス(本社東京)でまたハッキングによる流出事故が起こり、75万BTCとも言われる巨額のビットコインが失われた。(当時の時価額で約580億円)
このため、一時的な取引停止措置等もとられたが、ビットコイン価格は2日で約5割も急落し、年末には年初価格の約4分の1まで下落した。(年内は断続的な大口の売り注文が続いていたが、値ごろ感と見た買いもあり、価格は大きく変動している)

2015年にも、ハッキングやビットコインに対する規制強化等の措置による下落はあったが、年末には年初を上回る価格まで上昇している。
2016年には、米国の大統領選挙予備選でのトランプ候補躍進につれ、政治情勢の先行き不透明感からビットコイン価格は5月と10月に二度のピークを付け、リスクオフにおける資金逃避先としての側面を改めて見せた。

そして、昨年2017年には、日本での改正資金決済法の制定・施行などもあり、年末にかけて大きく価格が上昇し、12月には史上最高値を記録している。
しかし、2018年には各国の規制など様々な要因で一転して価格は下落基調になり、一時、高値の3分の1にまで下落した。
(但し、この下落過程においてマウントゴックス事件に関連して差し押さえられた約20万枚のビットコインとビットコインキャッシュの一部が、管財人によって既に売却されていたと言う発表が最近あり、この間の下落の大きな要因だったのではないかという観測も出ている。既売却額は差し押さえ総額の約5分の1で、なお8割近い約16万7千枚が売却される見込み。)

ビットコイン価格と主な出来事の推移

BTC価格(円) 摘要 最初の決済取引額対比 備考
2009 1 3 ビットコイン誕生    
9 ビットコインver0.1リリース    
12 ハル・フィンリーへ初送金   10BTC送金
10 5 0 New Liberty Standard販売   マイニング電気代金
12 0 法定通貨との交換   Pay Pal利用
2010 2 6   最初の仮想通貨取引所創設   Bitcoin Market
5 22 0.2 ピザ2枚=1万BTC   最初の決済取引
7 18 8 Mt.GOX取引所サービス開始 35  
8 15 7 最初の偽造事件 30 1840億BTC偽造
2011 1 1 30 シルクロード創設 136  
25 46 総発行枚数525万枚 210 上限枚数の25%
2 9 100 初めて1BTC=1ドルになる 455  
3 6 74   336  
4 16 87   395  
23 170 BTC=1ユーロになる 773  
6 12 1,489 初のBTC バブル 6,768 TIME誌へBTC記事掲載によるバブル
19 240 最初の暴落(ハッキング被害) 1,091 Mt.GOX社
2012 3 1 541 ウォレット内BTCの盗難 2,460 5万BTC喪失
5 8 660 取引の5割はサトシダイズ 3,000 ビットコインカジノ
9 27 1,320 ビットコイン財団設立 6,000  
12   1,760 年初の約4倍に価格上昇 8,000  
2013 1 1 1,465   6,660  
2 22 3,329   15,130  
3 21 8,250 キプロスバブル 37,500 キプロス金融危機
28 20,000 BTCの時価10億ドル 90,909 一時的に2万円まで上昇
5 1 13,530 ビットインスタント150万ドル 61,500  
8 9 10,340 ブルームバーム銘柄登録 47,000  
26 10,684 通貨認定の判決 48,565  
5     闇サイトシルクロード閉鎖    
10 1 14,631 シルクロードでの麻薬・違法ドラッグ取引疑惑で逮捕者 66,505
11 25 85,655 389,340  
29 124,549   566,130  
12 4 100,000 NHKで特集番組 454,545 一時的に10万円まで上昇
31 84,070 年初の約59倍に価格上昇 382,135  
2014 2 7 78,870 マウントゴックスでハッキング 358,500 100万ドル以上の喪失
9 44,000 2日間で約50%下落 200,000  
  4 1 26,400 国内最初の取引所サービス 120,000 Etwings(後にZaif買収)
6 13 65,780 51%ハッシュレート到達 299,000 51%攻撃のリスク
10 6 35,582 3万BTCの売り 161,735 売却者不明
12   26,400 年末は年初高値の約4分の1 120,000  
2015 1 4 30,346 530万$のハッキング 137,935 Bitstamp取引所
  19,690 一時1BTC=200ドルを割り込む 89,500  
6 3 24,959 米NY州でBTC規制発表 113,450 ビットライセンス義務化
8 15 29,396 BTCコミュニティの分裂 133,620 容量問題の対立
12 19 51,031 年末高値 231,960  
2016 1 15 42,350 BTC開発者マイクハーン離脱 192,500 一時50ドル下落
11 9 79,900 米大統領選挙不安で買われる 363,180  
12   83,600 年末は年初の約2倍 380,000 2016年の高値は5月
2017 4 1 119,441 日本で改正資金決済法成立 542,915 10月1日施行
8 1 306,664 ビットコインキャッシュハードフォーク 1,393,925  
9 4 503,459 中国でICO禁止 2,288,450  
15 396,735 中国内取引所規制 1,803,340  
12 18 2,144,849 史上最高値 9,749,315 シカゴで先物取引開始
2018 1 26 1,252,119 コインチェックでハッキング 5,691,450 NEM580億円分流出

※BTC取引価格は「映画ビットコイン」及び「CoinNews]の数値等を使用し、対比の便宜上1ドル=110円として計算

ビットコインの価格推移の要因

仮想通貨特有のハッキングによる被害(盗難)事件は継続して発生しており、今後も発生の規模次第だが、価格急落が起こる可能性も高い。
だが、前述の通り国家経済の混乱や世界経済の不透明感が高まった時には、資金逃避先としてビットコインへの投資が増加する傾向も度々見られている。

こうした急騰は、今後も世界経済の状況によって発生する可能性がある。また、昨年からの価格上昇の隠された理由として噂されるのが、中国の規制強化等の影響からビットコインの発行枚数の相当額が、暗証や口座情報等の紛失・忘失等で事実上取引不可能(休眠BTC)になり、従来に比べ市場流通量が減少しているためだとも言われている。

流通量に関しては、最近3ケ月の傾向は価格の乱高下もあり取引量も増加しているが、それでも24時間当たりのビットコイン取引枚数は総発行枚数に比べると0.2%前後で、時価総額に対して取引される市場流通量は他の金融取引市場に比べて多いとは言えない。(「CoinGecko」の通貨当り取引量からの推計数値。年間回転割合は総発行枚数の7割以下と見られ、先進国株式市場の2倍近い回転率よりも低く、活況期には4倍以上になる米国株に比べれば24時間休日なしの取引としては低水準と思われる)

結論としては、金融リスクが高まって為替変動や経済変動の影響が顕著になるとビットコイン等への資金流入が起こって価格が上昇し、ハッキングや規制強化等の不安材料で売り物が増えて価格が下落すると言う繰り返しが、これまで幾度と繰り返されている。
ただ、創設以来のチャート形状が依然として上昇傾向にあることは間違いない。

長期的な価格推移に直接関係しないが、短期的な仮想通貨市場の値動きは、アルトコインを含めて、チャート理論等から出される価格帯予測に良く当てはまる値動きが多い。
これは、値動きを左右する先物市場の仕掛け的売買と、為替や実需等の影響が株式・商品相場に比べて比較的少なく、価格水準と取引量による変動カーブが投資家の市場心理をストレートに反映した動きになりやすいからだと思われる。

ビットコイン等の今後の価格変動はどうなるか

2018年になると1月半ばから完全に調整局面入りし、高値からはかなり低い水準にある仮想通貨が多い現状だ。

だが、最大の時価総額を持つビットコイン取引でも取引の主体は取引額で見れば、アメリカ、日本、韓国等一部の国に限られている。ロシアを含む欧州での本格普及はこれからと思われ、EU圏内での新規取引所設立の動きが活発だ。

さらに期待されるのは新興国の仮想通貨需要の増加だ。
自国通貨の信用度が低く、経済活動と金融システムも未発達な新興国には、ビットコインの様な自国通貨の動きとの連動性のない通貨の需要が潜在的に強い。
これまでの地域限定的なバブルから、今後は新興国やEU等も含めた大規模なバブル的上昇相場に向かう可能性があるとも言われている。

ビットコインの時価総額は現在17兆円弱だが、新興国やユーロ圏等のGDP比(世界全体の5割以上)を勘案すると、状況好転が前提だがビットコインへの新規投資資金流入があるかも知れない。

昨2017年の高騰を実現させた日本を中心とする個人投資家の資金は現在停滞しており、ビットコイン取引に占める日本円の割合は全体で3位と、心理的にも上値を追いにくい。
また価格下落幅が大きかったので、日柄的にもかなりの調整期間が必要だろう。ビットコイン売りで利益が出やすい相場環境のため、相場活性化が期待された先物上場が逆に上値を抑えている。
さらに、以前活発だった中国、韓国の投資増加も当面は見込めなさそうだ。

しかし、日米の仮想通貨取引参加者はまだ個人投資家の一部と思われる。
ビットコインETF上場やG20における仮想通貨規制議論の中から、仮想通貨として前向きの内容があれば相場活性化が期待できる。(G20の議論は主にマネーローダリング等悪用に関する規制と思われるが、市場にとっては逆にマイナス材料となる危険性もある)

日柄調整期間は、過去の値動きでは1年を越えることはなかったビットコイン相場に、仮想通貨全体に機関投資家の参加も見込まれるようになれば、今後は史上最高値を越える価格上昇も期待できると言う声も出てきた。
現段階では、それがすぐに実現する可能性は少ないと筆者は考えているが、世界的な投資の広まりか機関投資家の参入のどちらかが実現しただけでも、本格的な相場反転のきっかけになることも充分想定できるだろう。

このコラムの執筆者

和気 厚至
和気 厚至

慶應義塾大学卒業後、損害共済・民間損保で長年勤務し、資金運用担当者や決済責任者等で10年以上数百億円に及ぶ法人資産の単独資金運用(最終決裁)等を行っていた。現在は、ゲームシナリオ作成や、生命科学研究、バンド活動、天体観測、登山等の趣味を行いつつ、マーケットや経済情報をタイムリーに取り入れた株式・為替・債券・仮想通貨等での資産運用を行い、日々実益を出している。


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