【消費者意識調査】消費活性化策「マイナポイント事業」の期待度は50.2%、申込方法に懸念

調査目的
    今年9月から、消費活性化とマイナンバーカードの普及、キャッシュレス決済基盤の構築を目的とした「マイナポイント事業」が開始されます。(総務省マイナポイント事業より
    同事業を利用するにあたってマイナンバーカードを使った事前予約と申込が必要ですが、マイナンバーカードの交付率は全国で16.8%という状況です。(令和2年6月1日現在
    株式会社エムズコミュニケイト代表取締役社長 岡田祐子氏監修のもと、全国消費者1,000人に「マイナポイント事業」について利用意識や期待度を調査し、昨年10月の消費税率引上げに伴う需要平準化対策として実施された「キャッシュレス・ポイント還元事業」との比較と共に、浮き彫りになった課題について解説していただきました。

調査回答者の属性(n=1,000)

調査対象:全国20代~60代男女1,000人

調査回答者の属性

  • 性別:男性35.8%/女性64.2%
  • 年代:20代16.1%/30代36.5%/40代31.6%/50代13.0%/60代2.8%
  • 婚姻:未婚48.1%/既婚51.9%
  • 職業:正社員34.0%/契約社員・嘱託社員2.5%/派遣社員4.9%/パート・アルバイト15.1%/フリーランス・業務委託3.5%/自営業・自由業7.4%/専業主婦(主夫)23.9%/学生0.7%/無職8.0%
  • 年収:100万円未満37.2%/100万円以上~150万円未満10.2%/150万円以上~300万円未満20.3%/300万円以上~500万円未満19.0%/500万円以上~700万円未満8.4%/700万円以上~1,000万円未満2.8%/1,000万円以上2.1%

調査1:マイナポイント事業の認知度

8割以上がマイナポイント事業を「知っている」、4人に1人が「内容まで理解している」

マイナポイント事業の認知度

全国消費者1,000人にマイナポイント事業の認知度について調査したところ、「聞いたことがある程度」が59.3%と最も多く、「内容を理解している」24.9%と合わせて8割以上が同事業を知っており、また全体の4人に1人が事業内容まで理解しているという結果でした。

「マイナポイント事業」とは、マイナポイントの活用により、消費の活性化、マイナンバーカードの普及促進、官民キャッシュレス決済基盤の構築を目的とする事業です。
(出典:マイナポイント事業

登録されているキャッシュレス決済サービスでチャージまたは買い物すると、利用金額の25%(上限5000円相当)を「マイナポイント」として還元されます。
マイナポイント事業を利用するには、マイナンバーカードとマイキーIDを必要とした事前申込が必要です。実施期間は2020年9月1日から2021年3月末まで(予約は2020年7月から開始)

調査2:マイナポイントの利用意思

およそ6割がマイナポイントを「利用したい」、理由は「ポイント還元が魅力的だから」

マイナポイントの利用意思

マイナポイントの利用意思について、「利用したい」26.3%、「やや利用したい」32.7%を合わせて、およそ6割が利用意思ありという結果でした。
利用したい理由として、「ポイント還元が魅力的だから」が523人と最も多く、次いで「キャッシュレスをよく利用するから」が330人と続き、お得感や節約意識に加えてキャッシュレス化が普及している傾向が読み取れます。

一方で、利用意思のない4割の理由として、「セキュリティ(個人情報含む)が不安だから」が242人と最も多く、次いで「マイナンバーカードを持っていないから」221人、「手続きが複雑・面倒だから」217人と続き、同事業の還元率に魅力を感じる人が多い中、セキュリティに対する不安感や、マイナンバーカードの取得と申込手続きの煩雑さが、利用に二の足を踏む要因になっているようです。

調査3:マイナポイント利用にマイナンバーカードを紐付けることについて

6割がマイナンバーカードの紐づけに「反対」、「セキュリティ(個人情報の漏えい)に不安」の声

マイナポイント利用にマイナンバーカードを紐付けることについて

マイナポイント利用に際してマイナンバーカードを紐付けることの賛否ついて、「賛成」は38.6%であり、残り6割以上が「反対」という意見でした。
賛成派の理由として「(マイナンバーカードの)普及・活性化に繋がる」が344人と多い一方で、反対派の理由では「セキュリティ(個人情報漏えい)に不安」が558人と突出し、次いで「購買データの個人追跡に不安」242人、「強引な普及・活性化策である」196人と続く内容でした。
買い物という日常的で身近な行動に、個人番号が紐づけられることに対して不安や嫌悪感がある人が多いようです。

賛成派の意見

マイナンバーカードに様々な機能を付与することはマイナンバーカードの価値向上に繋がると思います。また、マイナンバーカードを発行する人が増えれば今後のサービスやキャンペーンも充実しそう。
特別定額給付金の際にマイナンバーカード発行手続きに混乱している人が多かったため、この事業をきっかけに実施期間中のマイナンバーカード交付が増えればいいと思います。
諸外国ではマイナンバー制度が導入されていますし、仮に購買データが個人追跡に使われたとしても、紐付けられるのは一つのキャッシュレス決済のみなのでそれほど不安はありません。

反対派の意見

キャッシュレスの普及とマイナンバーカードの普及は別物だと思います。万が一、個人情報が漏洩した時に、誰がどのように責任を取ってくれるか分かりません。
マイナンバーカードの普及を促進する事業ですが、高齢者はもちろん、私自身もわかりづらく、扱いにくいという事も理解してほしいです。
マイナンバー自体が個人的なものであり、そこに買い物の履歴が紐づけられる可能性を想像すると個人の行動まで国に把握されてしまいそうで不安です。

調査4:マイナポイント事業の期待度

マイナポイント事業の期待度は5割、「還元率」が評価される一方で「申込方法」に懸念

マイナポイント事業の期待度

マイナポイント事業の期待度について、「期待している」9.5%、「やや期待している」40.7%を合わせて50.2%と全体の半数が期待しているという結果でした。
期待度の内訳として、「還元率(25%、上限5,000円)」に対する期待度は平均5.8、「実施期間(2020年9月~2021年3月)」に対する期待度は平均4.6、「申込方法(予約手順・要マイナンバーカード)」に対する期待度は平均4.4(※いずれも10段階評価、10期待できる⇔1期待できない)となり、還元率は評価が高いものの、調査2・3の結果にも表れている通り、要マイナンバーカードのハードルがある申込方法への懸念があるようです。

調査5:「キャッシュレス・ポイント還元事業」と比較した期待度

キャッシュレス・ポイント還元事業と比較した期待度では、マイナポイント事業がやや劣位

「キャッシュレス・ポイント還元事業」と比較した期待度

昨年10月の消費税率引上げに伴う需要平準化対策として実施された「キャッシュレス・ポイント還元事業」(6月末終了)とマイナポイント事業を比較した期待度について、「還元率」に対する期待度は平均4.0、「実施期間」に対する期待度は平均4.2、「申込方法」に対する期待度は平均2.9(※いずれも10段階評価、10マイナポイント事業を評価⇔1キャッシュレス還元事業を評価)となり、いずれの項目においてもマイナポイント事業がやや劣位である結果となりました。
とりわけ「申込方法」におけるマイナポイント事業の評価はとても低く、本事業の課題がここに集中していることが一貫してみてとれます。

監修者プロフィール

岡田祐子
株式会社エムズコミュニケイト
代表取締役社長 岡田祐子

株式会社エムズコミュニケイト
代表取締役社長 岡田祐子

慶應義塾大学卒業後、大日本印刷株式会社入社後、コーポレートベンチャーとして株式会社エムズコミュニケイトを設立。国内大手企業にポイントサービスやCRM戦略のコンサルティングを行うほか、国内唯一のポイントコンサル会社社長として「ガイアの夜明け」などにも出演。
著書:『成功するポイントサービス』(WAVE出版)
総務省マイナポイント広報委員会委員他歴任。

調査概要
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査期間:2020年6月10日~2020年6月15日
  • 調査対象:全国20代~60代男女1,000人
  • 調査監修:株式会社エムズコミュニケイト代表取締役社長 岡田祐子

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