【フリーランス意識調査】現実年収は理想の半分、時間や人間関係に縛られない働き方の満足度は?

調査目的
    ワーク・ライフ・バランスの推進や副業解禁をきっかけに「フリーランス」人口は年々増加しています。時間や人間関係に縛られず、ワーク・ライフ・バランスを実現する働き方として注目される一方、収入面や社会的信用面での課題もあります。
    20年以上にわたり、出版や広告制作など多方面で活躍するライターの立野井一恵氏監修のもと、フリーランスとして働く500人を対象に収入や満足度を調査し、フリーランスの将来性と在り方について解説していただきました。

調査回答者の属性(n=500)

※全国20代~60代フリーランス対象

調査回答者の属性

  • 性別:男性 48.4%/女性 51.6%
  • 年代:20代 21.2%/30代 42.6%/40代 25.4%/50代 9.4%/60代 1.4%
  • 婚姻・子供有無:未婚・子なし 47.0%/未婚・子あり 6.6%/既婚・子なし 14.6%/既婚・子あり 31.8%
  • 前職の雇用形態:正社員 48.6%/契約社員・嘱託社員 9.4%/派遣社員 5.4%/パート・アルバイト 23.8%/学生(新卒) 2.6%/専業主婦(主夫) 4.0%/無職 6.2%
  • フリーランス歴:1年未満 37.0%/1年以上~3年未満 28.6%/3年以上~5年未満 17.4%/5年以上~10年未満 11.8%/10年以上 5.2%

調査1:フリーランスの職種

人気の職種は「クリエイティブ系(デザイナー・ライター・制作 等)」

フリーランスの職種

全国の20代~60代フリーランス500人を対象に、職種(仕事内容)について調査したところ、「クリエイティブ系(デザイナー・ライター・制作 等)」が173人と最も多く、回答者の3人に1人が選択しています。次いで「職人・講師系(スタイリスト・美容師・インストラクター 等)」が54人、「販売・流通系(販売員・ネットショップ 等)」が41人と、1位と大きく差をつけるも上位3種で全体の半分を占める結果でした。

フリーランスの職種(人数順) 上位5種

クリエイティブ系(デザイナー・ライター・制作 等)173人
職人・講師系(スタイリスト・美容師・インストラクター 等)54人
販売・流通系(販売員・ネットショップ 等)41人
IT・ソフトウェア系(エンジニア・プログラマー 等)38人
インターネットメディア系(サイト運営・YouTuber 等)34人

調査2:職種別の年収と理想年収

現実年収は理想年収(希望額)のおよそ半額

職種別の年収と理想年収

フリーランス職種別の平均年収について、最も年収の高い職種は「投資・トレード系(投資家・シェアビジネス 等)」463万円、次いで「コンサルティング系(コンサルタント・カウンセラー 等)」388万円、「職人・講師系(スタイリスト・美容師・インストラクター 等)」305万円という結果でした。
理想年収においては、どの職種も現実年収のおよそ2倍の額を希望していることが明らかになりました。
また回答者500人中、最高年収は「投資・トレード系」の1,000万円、最低年収は「クリエイティブ系」の12万円と、収入には大きな開きが生じています。

職種別の年収と理想年収 上位5項目

投資・トレード系(投資家・シェアビジネス 等)463万円理想975万円
コンサルティング系(コンサルタント・カウンセラー 等)388万円理想525万円
職人・講師系(スタイリスト・美容師・インストラクター 等)305万円理想913万円
専門職・土業系(税理士・社労士・司法書士 等)293万円理想567万円
その他215万円理想270万円

調査3:月間の労働日数と労働時間

月間の労働日数の平均値は21日、中央値は20日
月間の労働時間の平均値は148時間、中央値は150時間

月間の労働日数と労働時間

月間の労働日数については、「20日以上~25日未満」が56.0%と最も多く、平均値は21日、中央値は20日という結果であり、一般的な会社員の労働日数である週5日と同等であるといえます。
また、本調査での最大労働日数は30日、最低労働日数は10日です。

月間の労働時間については、「150時間以上~200時間未満」が最も多く32.0%、次いで「100時間以上~150時間未満」が29.3%と続き、平均値は148時間、中央値は150時間という結果でした。こちらも一般的な会社員と同等であるといえます。
また、本調査での最大労働時間は400時間、最低労働時間は20時間です。

月間の労働日数

10日以上~15日未満8.0%
15日以上~20日未満13.3%
20日以上~25日未満56.0%
25日以上~30日未満14.7%
30日以上8.0%

月間の労働時間

50時間未満5.3%
50時間以上~100時間未満12.0%
100時間以上~150時間未満29.3%
150時間以上~200時間未満32.0%
200時間以上~250時間未満16.0%
250時間以上5.3%

調査4:フリーランスになった理由

フリーランスになった1番の理由は「時間に縛られず自由に働きたい」

フリーランスになった理由

フリーランスになった理由については以下の通りで、最も多く挙げられたのは「時間に縛られず自由に働きたい」198件、次いで「人間関係がストレスだった」153件と、働き方の自由度を重視していることが明らかになりました。

フリーランスになった理由 上位5項目 ※複数回答可

時間に縛られず自由に働きたい198件
人間関係がストレスだった153件
自分の実力(スキル)を試してみたい132件
会社に属するのに向いていなかった125件
出産や子育てのため92件

調査5:フリーランスの満足度

57.6%がフリーランスの働き方に概ね満足していると回答

フリーランスの満足度

フリーランスの満足度内訳

フリーランスという働き方に対しての総合満足度については、「とても満足」9.4%、「やや満足」48.2%と全体の6割近く(57.6%)が「満足」と回答しました。
満足度の内訳は以下の通りで、「時間面」、「年齢面」については満足度が高い傾向にあるものの、「助成金・補助金面」「社会保障制度面(保険・年金)」、「社会的信用面」については不満を抱いている実態が明らかになりました。

フリーランスの総合満足度

とても満足9.4%
やや満足48.2%
どちらでもない25.0%
やや不満14.8%
とても不満2.6%

フリーランスの満足度 内訳 ※10段階評価(1不満⇔満足10)

収入面4.3
時間面6.7
年齢面6.7
税金面5.3
社会保障制度面(保険・年金)3.4
助成金・補助金面3.3
社会的信用面①(融資・クレジットカード審査 等)3.4
社会的信用面②(賃貸物件の審査・契約 等)3.4

フリーランスの満足度についてコメント(一部紹介)

●ポジティブな意見
新型肺炎の影響で学校が休校になり子供が自宅にいても、仕事を続けられるのが助かります。(40代男性/IT・ソフトウェア系)
会社勤めだと上司や同僚への対応が必要だが、フリーだとそれがなく自己責任で解決できるので満足。(50代男性/その他・リフォーム)
自分の得意な分野で仕事を選びながら働けるのでストレスがないです。(30代女性/職人・講師系)
●ネガティブな意見
自分のペースでマイペースに働けるのは良いが、住宅ローンや銀行からの融資は受けられないことに不満。(30代男性/販売・流通系)
社会的信用が低いので、クレジットカードの審査が通らないことが不満。(30代女性/インターネットメディア系)
社会的にまだ知名度・信頼度が低く、それをバックアップしてくれる国の政策などが不足している。(40代男性/コンサルティング系)

監修者プロフィール

立野井 一恵
office sasaki
コピーライター・ライター

立野井 一恵/コピーライター・ライター(office sasaki)

早稲田大学第一文学部卒業後、出版社、広告制作会社勤務を経て、フリーランスに。企業の広告関連の仕事を手がけるほか、雑誌・夕刊紙などで執筆。2009年よりクリエイティブ系フリーランスの女子会「FOS」を主宰。著書に『会社に雇われずにフリーで働く!と決めたら読む本』(明日香出版社)『イケアはなぜ「理念」で業績を伸ばせるのか』(PHPビジネス新書)他。
【HP:http://www.officesasaki.net

調査概要
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査期間:2020年3月6日~2020年3月11日
  • 調査対象:全国20代~60代フリーランス500人
  • 調査監修:office sasaki 立野井 一恵

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