【働き方改革・実態調査】副業している1000人に聞いた収入事情と満足度
- 「働き方改革」の一環で副業・兼業が2018年に解禁されてから副業を始める人が増加しています。また、今年度より時間外労働(残業)の上限規制も導入されたことから、収入減や空いた時間を補うために副業への興味関心度は一層高まるでしょう。
本調査は、副業経験者に労働時間と月間収入の実態調査および満足度の意識調査を実施し、これから副業をはじめたい人への参考と柔軟な働き方の推進を目的としています。
調査回答者の属性
- 性別:男性44.2%(442人)/女性55.8%(558人)
- 年代:20代25.8%(258人)/30代46.7%(467人)/40代23.3%(233人)/50代以降4.2%(42人)
- 本業雇用形態:正社員61.5%(615人)/契約・嘱託社員13.4%(134人)/派遣2.6%(26人)/パート・アルバイト22.5%(225人)
- 副業歴:半年未満35.8%(358人)/半年以上∼1年未満18.3%(183人)/1年以上∼3年未満28.3%(283人)/3年以上∼5年未満7.5%(75人)/5年以上∼10年未満5.2%(52人)/10年以上4.9%(49人)
調査1:副業内容・職種(複数回答可)
複数の仕事を掛け持ちしている人も多く、なかでもリスクがなくスキマ時間で作業ができる「アンケートモニター・懸賞」が34.9%と最も割合が高く、次いで「クリエイティブ(ライター・デザイナー・製作 等)」31.7%、「インターネットメディア(アドセンス・アフィリエイト・SNS 等)」23.3%、「投資・シェアビジネス(株式・不動産・シェアリング)」17.6%と、在宅でできる副業が上位を占めています。
その中でも「アンケートモニター・懸賞」の人気が高かった理由としては以下3点が考えられます。
・特別な知識や技術を必要としない。
・パソコンだけでなくスマホでも作業を行える。
・ひとつあたりの作業が短時間で完結。
気になる点としてはデータ入力や事務作業といった「オフィスビジネス(5.8%)」が挙げられます。
今回の調査結果では低い数字でしたが、働き方改革の普及と合わせて企業のテレワークや在宅ワーク導入が増えていくことで、今後伸びていくことも考えられますね。
調査2:副業をする理由(複数選択可)
副業をする理由として「生活費・ローン返済のため」45.7%が最も多く、「本業の収入だけでは生活が苦しい」や「子どもの教育費に充てる」などといった回答がみられました。
次いで、「将来への備え・貯金」42.3%、「趣味・娯楽費のため」37.4%の順に回答が多く、そもそも副業解禁の背景として政府や企業側が望む「本業に活かすスキルアップ」、「キャリア形成・起業または転職準備」、「人脈・人間関係の構築」といった自己啓発・自己研鑽のための理由は1割にも満たず、理想とは裏腹に副業者の大半が収入目的であるという傾向になりました。
なぜなら、上位2つの「生活費・ローン返済のため(45.7%)」「将来への備え・貯金(42.3%)」と回答した人は、全体の4割以上となっています。
その結果から、3番目の「趣味・娯楽費のため(37.4%)」を投票した人の中にも、本業で得た収入を現在の生活や将来の貯蓄にまわして、「副業で得た収益のみを趣味や娯楽費に使っている方も多数含まれているのでは」と予想できます。
本業とは別の仕事を行うことで社員のスキル向上やキャリア形成につながることを考えている企業もあると思いますが、「本業に活かすためのスキルアップ(8.3%)」「キャリア形成・起業または転職準備(5.8%)」と、現時点で意識している人はまだ少ないこともわかりました。
調査3:副業の稼働日数・労働時間(月間)
副業の稼働日数は、「毎日」46.5%、「週4∼6日」26.6%と、7割超が週の半分以上で副業をしており、平均稼働日は月間で21日と、本業の勤務日数と同等であることがわかりました。
また、副業の労働時間については、「1時間未満」14.1%、「1時間以上∼3時間未満」24.2%・・・「20時間以上」23.2%と大きな偏りは無く、平均労働時間は月間で9.8時間と、日々のスキマ時間を利用してコツコツ稼働しているようです。
調査4:副業の月収入
副業による月収入では、「10,000円未満」が49.1%とおよそ半数を占めています。次いで「10,000円以上∼30,000円未満」29.1%と続き、およそ8割の副業者が月3万円未満の副収入であることが明らかとなりました。
また、月10万円以上の副収入がある人の特徴として、「インターネットメディア運営(広告収入)」、「専門職(資格保有)」、「投資・シェアビジネス」といった初期費用や時間が掛かる職種が多く、副業歴も5年または10年以上というベテランが該当しています。
本調査での平均副業収入は月間47,455円という結果であり、厚生労働省公表の「毎月勤労統計調査」によると一般労働者の所定外給与平均は26,427円(令和元年9月速報値)であるため、残業代や休日出勤手当に比べると副業収入のほうがやや高い傾向となります。
調査5:副業の満足度
副業の「労働時間」と「収入」について満足度を調査したところ、労働時間に対しては「とても満足(短い労働時間)」25.1%、「やや満足(平均的な労働時間)」40.0%と、6割を超える副業者が「労働時間に満足」と回答しました。意見として「自分のペースで仕事ができる」や「空いた時間を有効に使える」といった声があり、融通が利く点やスキマ時間を効率的に使える点が満足度に繋がっていると見てとれます。
一方で、収入に対しては「やや不満(期待以下の収入)」45.8%、「とても不満(非常に少ない収入)」23.3%と、7割近い副業者が「収入に不満」と回答しました。意見として「単価が低すぎる」や「時給換算すると悲しくなる」といった不満があるものの、「やらないよりは良い」、「空いた時間で1円でも稼ぎたい」という副業に前向きな声が目立ちました。
まず、労働時間に対しての満足度が高い理由としては、スマートフォンやパソコンを使った副業が多いことが考えられます。
手元にスマートフォンやパソコンさえあれば時間と場所に関係なくいつでも作業が行えるからですね。
家事や子育て中の合間にできた時間や、電車通勤の時間を使っての副業も可能です。
次に収入が低いことに対して「不満」な理由としては、報酬単価が高い副業自体がまだ少ないことが考えられます。
例えば、今回のアンケート調査の中で最も回答数が多い人気の副業「アンケートモニター・懸賞」も報酬単価が高い副業とは言えません。
今後、AIやIT技術のさらなる進化、副業・兼業する人の増加などを理由に副業市場が伸びれば、それに比例して報酬の高い副業も増えてくるのではないでしょうか。
調査6:本業会社への副業申告・確定申告の有無
本業への副業申告および確定申告の有無について調査したところ、「本業への副業申告なし」との回答が87.3%と「確定申告なし」と同率でした。本調査では副業の収入もやや低水準だったことから、9割近い副業者が確定申告なしという結果でした。(※年間所得が20万円未満の場合でも確定申告が必要なケースがあります。)
また、「本業へ副業申告あり」12.7%の内訳としては、「青色申告あり」8.5%、「白色申告あり」4.2%という結果で、節税効果の高い青色申告の割合がやや高い傾向となりました。
監修者プロフィール
株式会社ビズヒッツ
代表取締役 伊藤 陽介
2009年1月、三重県鈴鹿市に創業、2年後となる2011年の倒産危機をキッカケとして在宅ワークの導入と組織化に成功。その後、本社は鈴鹿市のまま自身は東京へと居住地を移しての遠隔経営を取り組み現在も継続中。
自身の経験を元に2013年5月『現場のプロがやさしく書いた Webサイト運営・プロデュースの教科書』を共著執筆。
在宅ワークに関するセミナー講演の実績多数。
主な事業内容は、派遣・パート・アルバイト求人情報サイト「Biz Hits Work」と、それに伴い働く人たちの問題解決を考えるメディア「Biz Hits」の運営。
また、サイト運営の中で得た知識や経験を元に「パソコン業務の効率化」「在宅ワーカー導入サポート」等も行っている。