【2020年 冬ボーナス調査】平均支給額35万円、昨対比は4%減

調査目的

みずほ総合研究所の発表によると、2020年冬の民間企業の一人当たりボーナス支給額は前年比▲7.5%と予測され、リーマンショック以来の大幅減の見通しとなっています。その背景には、コロナ禍での業績悪化が挙げられ、特に観光や宿泊、飲食や娯楽などのサービス業においては営業自粛や休業による低迷が続いており、その影響は計り知れないものとなっています。

まねーぶ調べでは、全国正社員800人を対象に2020年度の冬ボーナス調査を行い、支給額と昨対比そしてボーナスの使い道や評価について明らかにし、景気回復への課題について社会保険労務士・1級FP技能士の岡崎壮史氏に考察していただきました。

調査回答者の属性(n=800)

調査対象:全国20代~60代正社員800人

調査回答者の属性(n=800)

  • 性別:50.5%/女性49.5%
  • 年代:20代25.8%/30代43.1%/40代23.3%/50代7.4%/60代0.5%
  • 業種:建設業6.9%/製造業18.3%/電気・ガス・水道業1.0%/交通・運輸業4.0%/情報通信業5.5%/卸売・小売業11.9%/金融・保険業9.9%/不動産業1.5%/飲食業1.5%/宿泊業3.0%/生活関連サービス業5.9%/教育・学習支援業4.0%/医療・福祉16.4%/公務・団体2.0%/その他8.4%
  • 役職:一般社員・職員74.0%/主任・係長16.9%/課長・次長6.9%/部長・本部長2.0%/代表取締役社長0.3%
  • 勤続:新卒2.5%/1年以上~3年未満24.8%/3年以上~5年未満14.4%/5年以上~7年未満15.9%/7年以上~10年未満9.9%/10年以上~15年未満17.4%/15年以上~20年未満5.4%/20年以上~30年未満7.9%/30年以上2.0%

調査1:2020年度 冬ボーナスの支給有無

およそ4人に1人が冬ボーナス「支給なし」、理由の7割が「会社の業績が悪い(コロナの影響含む)」

2020年度 冬ボーナスの支給有無

全国正社員800人(業種・企業規模問わず)に、2020年度の冬ボーナスの支給有無について調査したところ、「支給あり」は73.8%(590人)であり、対して「支給なし」が26.3%(210人)と、およそ4人に1人が支給されないという結果でした。
支給なしの理由として、「会社の業績が悪いため(コロナによる業績悪化含む)」が69.5%と突出し、次いで「固定給・年俸制のため」13.3%、「企業規模が小さいため」11.4%と続きました。

調査2:2020年度 冬ボーナスの支給額

冬ボーナス支給額の平均値35万円、中央値30万円(支給対象者のみ)

2020年度 冬ボーナスの支給額

2020年度の冬ボーナスの支給額について、支給対象者のみ(590人)の平均値は35万円、中央値は30万円という結果でした。支給額の内訳では、「20万円以上~30万円未満」が23.6%と最も多く、次いで「10万円以上~20万円未満」18.1%と続き、30万円未満がおよそ半数を占めています。

本調査結果での最高支給額は110万円(金融・保険業/勤続年数10年以上~15年未満)、最低支給額は3万円(卸売・小売業/勤続年数3年以上~5年未満)でした。

調査3:昨年(2019年度)冬ボーナスとの比較

平均支給額の昨対比は4%減、半数以上が減額(昨年支給対象者のみ)

昨年(2019年度)冬ボーナスとの比較

2019年度の冬ボーナスの支給額について、昨年支給対象者のみ(677人)の平均値は36.4万円であり、昨対比は96.0%(4%減)という結果でした。
本年支給額との増減内訳では、「増額」21.1%、「同額」27.5%、「減額」51.4%であり、半数以上が昨年度よりもボーナス額が減っていることが明らかになりました。また、最大増額は20万円(金融・保険業)、最大減額は50万円(製造業)でした。

調査4:2020年冬ボーナスの使い道と昨対比

冬ボーナスの使い道は「生活費」「ローン返済」が昨年より上昇、「貯金」「遊興費」は下降

2020年冬ボーナスの使い道と昨対比

2020年冬ボーナスの使い道について(※使途合計100とした割合回答の平均値)は、「貯金」が55.2%と突出していますが、昨年の57.3%から2.1ポイント下降しています。さらに「遊興費(外食・レジャー費 等)」も5.0%と、昨年の7.4%から2.4ポイント減となり、外出自粛に加えて支出を控える傾向となっています。

一方で、「生活費(生活雑貨・日用品 等)」は15.4%と昨年から3.3ポイントと大きく上昇し、現状の生活を支えるための補填となっているようです。また「ローン返済」も9.9%と昨年から2.0ポイント増となり、前述の「貯金」に回すより返済に充てる額が増えていることが読み取れる内容です。

調査5:2020年の冬ボーナス支給額に対する評価

6割強が冬ボーナスの支給額に「納得できる」、理由は「コロナ禍で不安定な中でも支給されたから」

2020年の冬ボーナス支給額に対する評価

2020年の冬ボーナス支給額に対する評価については、「納得できる」29.8%、「やや納得できる」32.6%を合わせて6割強が納得と回答し、その理由として「コロナ禍で不安定な中でも供給されたから」が368人と突出し、次いで「昨年の支給額よりも高いから」67人、「自身の努力・成果に見合っているから」59人と続きました。

一方で、「あまり納得できない」20.8%、「納得できない」16.9%を合わせた4割弱の理由として、「自身の努力・成果に見合ってないから」が119人、次いで「昨年の支給額よりも低いから」87人、「査定内容・基準が曖昧だから」75人と続きました。

本調査で寄せられた2020年の冬ボーナスに対する声をご紹介します

昨年より減額されているものの現在の社会情勢を考えるならば十分な支給額と思っています。
(40代女性/卸売・小売業)
コロナ過で業務が減少したにも関わらず、賞与が支給されたことは有難いです。来夏はどうなるか不透明ですが、不支給を視野に入れた生活設計を考えなければいけないですね。
(40代男性/交通・運輸業)
コロナ禍で会社の業績が悪く倒産しそうな勢いの中、ボーナス不支給は仕方ないと思う。
(30代女性/生活関連サービス業)
コロナ禍のため上期はろくに成果を出せず、給与の減額分もカバーできない支給額だった。コロナ禍が続いているので下期もこの調子と思うと不安。
(30代女性/金融・保険業)
コロナの影響で会社の業績は悪くなっているが、個人としてはかなり結果を出してきたのに0なのは不満に感じる。
(40代男性/金融・保険業)
コロナ患者を受け入れる程、病院は赤字になります。Go Toをはじめ政府は完全に経済効果を優先しているけれど、そのしわ寄せは全て私たち医療従事者にきています。最後の砦である私たちがもう限界だと匙を投げたら経済も何もあったもんではありません。病院から報酬を出せないのであれば政府がもっと支援すべきだと思います。
(30代女性/医療・福祉)

調査6:来年度のボーナスに対する期待度

7割弱が来年度のボーナスに「期待できない」、理由は「コロナの収束が見込めないから」

来年度のボーナスに対する期待度

来年度のボーナスに対する期待度については、「あまり期待できない」44.6%、「期待できない」23.3%を合わせて7割弱が期待薄と回答し、その理由として「コロナの収束が見込めないから」が305人と最も多く、次いで「会社業績が不振だから」218人、「業績・景気回復が見込めないから」154人と続きました。

一方で、「期待できる」8.4%、「やや納得できる」23.8%を合わせた3割強の理由として、「会社業績が好調だから」が95人、次いで「業績・景気回復が見込めるから」63人、「今回のボーナスが良かったから」60人と続きました。

来年度のボーナスも今期と同じような悪状況が続いた場合、自身の生活にどんな支障が生じるか聞いてみました

子供が産まれたばかりだが、教育費分の貯蓄や家具家電の買い替えができない。
(30代男性/卸売・小売業)
毎月の給与も減り、貯金が出来ないどころか赤字なので、ボーナスが出ないと生活費さえ足りなくなる。
(40代女性/建設業)
住宅や自動車ローンの返済が厳しくなります。レジャー費や交際費等の削減が必要ですね。
(40代男性/交通・運輸業)
貯金を切り崩して補填します。生活レベルも落として贅沢は控えなければなりません。
(50代女性/生活関連サービス業)
生活自体には問題ありませんが、友人や会社の同僚・上司等との交遊に関しては余裕が無くなるので人間関係が崩れそうで不安です。
(40代男性/製造業)

監修者プロフィール

岡崎 壮史
マネーライフワークス
代表 岡崎 壮史

マネーライフワークス
代表 岡崎 壮史

社会保険労務士、1級FP技能士、CFPⓇ認定者

就業環境改善支援事業において「過重労働解消のためのセミナー」「就業環境整備改善支援セミナー」(いずれもオンラインセミナー)のセミナー講師(実施回数は100回以上)として、働き方改革の推進支援の事業を行っており、他にも助成金に関するセミナーやコンサル・申請代行なども行っている。
また、お金に関するウェブサイトのコラム記事などの執筆や監修なども行っている。

調査概要
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査期間:2020年12月8日~2020年12月15日
  • 調査対象:全国20代~60代正社員800人
  • 調査監修:マネーライフワークス岡崎壮史
  • 調査結果は小数点第2位以下を四捨五入しているため、合計値は必ずしも100とはなりません。

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