知らなきゃ損!? 年末までにチェックしたい2人に1人が実践している節税対策(2020年版)
新型コロナに振り回された怒涛の2020年も残すところ1か月余りとなり、年末調整の時期が近づいてきました。今年は非常に苦しい家計状況に悩まされ、還付金や控除などで少しでも負担を減らしたいと考えている人も多いのではないでしょうか。
まねーぶ調べでは、全国の給与所得者および個人事業主に節税対策に関する意識調査と個別インタビューを行い、今からでも間に合う節税対策や、年末調整・確定申告の書類に関する疑問・悩みについて公認会計士・税理士の大橋 誠一氏に解説していただきました。
調査回答者の属性(n=368)
- 性別:男性42.9%/女性57.1%
- 年代:20代19.0%/30代43.2%/40代25.8%/50代9.2%/60代2.7%
- 世帯:単独世帯32.1%/夫婦のみ世帯16.0%/夫婦と子世帯35.6%/ひとり親と子世帯4.6%/その他世帯11.7%
- 雇用形態:正社員(一般社員)38.6%/正社員(管理職)3.5%/契約社員・嘱託社員4.3%/派遣社員2.7%/パート・アルバイト13.3%/個人事業主22.3%/フリーランス15.2%
- 個人年収:103万円未満17.9%/103万円以上~150万円未満9.2%/150万円以上~300万円未満26.6%/300万円以上~500万円未満30.7%/500万円以上~700万円未満10.6%/700万円以上~1,000万円未満4.1%/1,000万円以上~2,000万円未満0.5%/2,000万円以上0.3%
調査1:年末調整に向けて節税対策している?
全国の給与所得者および個人事業主を対象に節税対策に関する意識調査をしたところ、「節税対策している」と回答した人は49.2%という結果でした。およそ2人に1人が対策をしていることから、厳しい経済状況下で多くの人の節税意識が強まっている様子が伺えます。
調査2:どんな節税対策をしている?
個人事業主(確定申告)では「青色申告特別控除」が最多、次いで「ふるさと納税」と続く
節税対策の内容については、給与所得者(年末調整)では「生命保険料控除」が60人と最も多く、次いで「ふるさと納税」41人、「地震保険料控除」と「iDeCo・NISA」が同数の23人と続きました。
また、個人事業主(確定申告)では「青色申告特別控除」が51人と最も多く、次いで「ふるさと納税」34人、「家事按分による必要経費の計上」26人と続きました。
本調査にて節税対策をしていると回答した給与所得者および個人事業主に、まねーぶ編集部による個別インタビューを実施しました。
(30代男性/正社員・一般社員)
(40代男性/正社員・管理職)
(40代女性/フリーランス)
(40代男性/フリーランス)
(30代男性/正社員・一般社員)
(40代男性/正社員・管理職)
(40代女性/フリーランス)
(40代男性/フリーランス)
(30代男性/正社員・一般社員)
(40代男性/正社員・管理職)
(40代女性/フリーランス)
(40代男性/フリーランス)
(30代男性/正社員・一般社員)
(40代男性/正社員・管理職)
(40代女性/フリーランス)
(40代男性/フリーランス)
サラリーマン(パート・アルバイト)の方は毎月の給与がある程度決まっており、給与所得の目安を把握した時点で「保険料控除」「ふるさと納税」などの節税対策に早期に取り組めるメリットがあります。
事業主(フリーランス)の方は変動がある分、年末ギリギリまで事業所得の把握が難しいですが、その分「青色申告特別控除」「小規模企業共済」など給与所得者にはない独自の節税対策のラインナップがあります。
調査3:年末調整・確定申告の書類が面倒に感じる?
理由は「難しい用語ばかり」「添付書類の収集・保管が大変」「用紙の字が細かい」等の不満の声
年末調整・確定申告の書類については、73.9%が「面倒に感じる」と回答しました。面倒に感じる理由としては、「難しい用語ばかりで理解しにくい」172人、「添付書類の収集・保管が大変」125人、「用紙の字が細かくて何を書いて良いかわからない」107人が上位回答に挙がりました。
本調査で寄せられた意見では、「毎年提出しているのに書類の記入方法を忘れてしまう」や「税制改正で変更点が多いのに何の説明もない」という声が多く、書類記述や節税に関する情報集めに苦悩している様子が伺えます。
また、「書類の電子化が進んでほしい」という声が目立つ一方で、「今年から電子申請が導入されたが、はじめてなので心配」という不安の声もあり、年末調整・確定申告に関する説明の必要性を感じる内容となりました。
改正に関することは会社の経理担当者に任せるとしても、申告対象者である皆様ができることとしては、昨年の自分の記載内容を会社に問い合わせる(昨年の用紙のコピーをもらう)ことで、控除のもれ防止や必要書類の再確認をすることができます。これは、事業主(フリーランス)の方にもいえることで、昨年の確定申告書の控書類を保管しているだけで、かなりの助けになります。
調査4:年末調整・確定申告に関する疑問・悩み
年末調整・確定申告に関する疑問や悩みに対し、公認会計士・税理士の大橋 誠一氏に解説していただきました。
給付金や補助金を受け取った時の申告について
例えば、事業の有無に関係なく支給される「特別定額給付金(100,000円)」「子育て世帯への臨時特別給付金(10,000円)」などは非課税ですが、事業に関係する「持続化給付金(最高200万円)」「家賃支援給付金(最高600万円)」「(自治体独自の)休業要請(外)支援金」は課税対象になります。
「持続化給付金」などが課税対象になる理由としては、これらが売上・利益の補填の性格があるほか、事業活動により得た売上・利益が課税で事業活動をせずに得た給付金を非課税にすると、「働かない方が得だ」というモラルハザードを助長するといった理由が挙げられます。
はじめての確定申告で不安・・・無料相談できるの?
また、国税局の電話相談センターは電話が集中してなかなかつながらないことも多いです。
最近は税理士会が確定申告時期に電話相談センターを設けており、税理士が無料で対応しています(不動産や株式の譲渡所得は対象外であることが多いです)ので、お住まいの地域の税理士会のHPなどを確認してみてはいかがでしょうか。
ちなみに、私の経験からご案内しますが、会場・電話ともに「午前より午後」、「週の初めより中ごろ」の方が空いている傾向にあります(比較的高齢の申告者が多いせいか、病院の混雑する日・時間帯に概ね連動しています)。
ふるさと納税で損をしないためには?
最近は、所定の項目を入力すればふるさと納税の限度額が算出されるページが存在しています(例えば「ふるさとチョイス」HPに「控除上限額シミュレーション」のページがあり、住宅ローン控除にも対応しています)。
しかし、あくまで、「年末までに支払った」ことがふるさと納税を含む寄付金控除の適用要件であり、例えば「医療費控除」の対象額を11月末時点で集計した上で、ふるさと納税の限度額をシミュレーションしてみる(12月中に寄付する)といった取り組みも一考かもしれません。
会社員と自営業をしている場合、年末調整と確定申告どちらも申告するの?
しかし、仮に、あなたが会社を経営していて、給与の支給は社長であるあなた1人のみ、かつ、年末調整によって税額の追加天引きが発生しない(年末調整をすれば還付になる)のであれば、わざわざ年末調整をしないで「年調未済」と表示の上で源泉徴収票を発行し、確定申告によって精算するという実務もあり得ます(税務署にとって取りもれがないからです)。
監修者プロフィール
公認会計士・税理士
大橋 誠一
公認会計士・税理士 大橋 誠一 事務所
大橋 誠一
有限責任監査法人トーマツ・デロイトトーマツ税理士法人を経て、国税専門の裁判官ともいうべき国税不服審判所の国税審判官として所得税・法人税・相続税等の審査請求事件の調査・審理に従事。退官後、税理士法人チェスター審査部部長を経て、現在は不服申立代理人業務、審理業務、弁護士等と協働した相続対策業務、執筆業務等に従事。