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アメリカやシンガポールで急成長する「保険×AI」の最新レポート

保険×Technologyで生み出されるInsurtech。日本でも保険会社やスタートアップ企業がTechnologyの最新技術を使って、顧客に新しいサービスを届けようと奮闘しています。

ただInsurtechの先進国とされるアメリカや、アジアのTechnology市場でも急激に成長するシンガポールと比べると、どうしても「遅い」印象が拭えません。

日本国内でもInsurtechに強い関心は持たれており、ある協会で最新事情をレポートするイベントが開催されると会場を溢れるほどの聴講者が集まりました。

アメリカやシンガポールの最新事情を企業側から伝えると同時に、日本の進捗状況についてもお伝えします。

アメリカで注目される「損害保険×Technology」

まずは現在、世界的に注目されている家財保険の企業について。

アメリカに「レモネード(Lemonade)社」という損害保険会社があります。

なんとも甘そうなこの会社はInsurtechの大本命とされ、以前から注目を浴びてきました。

レモネード社は家財を損害保険の対象とします。日本の損害保険の枠に当てはめると家財は火災保険や地震保険というところでしょうか。

最近はミニ保険(少額短期保険)で家財単体にスポットを当てる保険会社も増えてきました。ただ、日本で定着しているいずれのビジネスモデルともレモネード社は異なります。

レモネード社の最大の魅力は「スマホ(スマートフォン)ですべてが完結する」という点。通常家財保険というと破損した家財を建築士などの専門家が確認し、全損・半損・一部損などの「壊れ方」を診断し、それにともない保険金が振込などで加入者のもとに届くという流れでした。


レモネード社はチャットボット(Chatbot)という人工知能を活用し、スピーディな保険を案内しています。レモネード社と既存の家財保険の違いは主に以下の点があります。

<レモネード社と既存の家財保険の違い>
・保険金が支給されるまでの早さ
・人的コストが異なることによる保険料の安さ
・専門家のチェックや振込を介さないことによる手軽さ

参考:レモネード社

インターネットにより誕生した「マイクロ保険」

レモネード社以外にも注目したいビジネスモデルの保険は多いです。

そのなかで「マイクロ保険」という分野があります。

インターネット、特にスマートフォンの利用者拡大で様々な対象に「保険をかけられる」ようになりました。

アメリカ、日本問わず既存の保険会社は「スケーラビリティ」を重視します。

保険商品に開発費用がかかり、新商品を広めるのに費用が必要となり、実際の保険金支払いや保守にも費用がかかります。

そのため一つの保険商品には最低限必要な加入者数が必要となることに加え、なかなか新しく、斬新な保険商品を提供することは難しい。この部分を変えたのがインターネットでした。

インターネットにより、これまでは保険の対象と出来なかった規模の小さなモノが保険の対象となり、多様化しているニーズに対応することができるようになってきています。

また、現在注目されているのは「加入者が保険に加入させるものを決めて、登録する」という方法

つまり、不特定保険といいましょうか。


この「不特定保険」市場が拡大すると、たとえば旅行に行くときにスーツケースを保険に登録するとします。

空港に預けて旅行先で開いて、荷物を詰め替えて自宅に持ち帰るまでのあいだ、保険の対象になり、その使用頻度に合わせて保険料が算出されます。

マイクロ保険、現在代表的な企業はTrov社や、マイクロ旅行保険を扱うSure社があります。

アメリカやシンガポールで急成長するInsurtech

これら斬新な発想が起案し、優秀なエンジニアがチームに参画し新たな商品開発がスタートに、莫大な開発資金を集める。

そして市場に提供されていきます。

現在、その中心となっているのはアメリカとシンガポールといわれています。

シンガポールでInsurtechに関するイベントが開催されると世界中から起業家や投資家が集まり、それが新たなInsurtechのアイデア、そして商品を生み出す源泉となっていきます。

ここには国民性の違いもあるといわれています。生命保険にTechnologyを使って革新的な商品を出すとき、健康状態を計るリングを身につけたり、頭に計測機器を付けたりしなければなりません。

以前現役で保険会社に勤める方に聞くと、日本人はどうしてもこの部分に抵抗があり、商品化が進みにくいという側面がありました。

一方でこのような(例えとして)人体実験にあまり抵抗ない国の場合、生命保険分野でのInsurtechは迅速に進みます。

そういう意味では、腕につけて様々な計測ができるといわれているApple watchが日本国内で浸透したのは、とても革新的といえます。

今後、抵抗感の薄くなった「計測ツール」を(お洒落に、という点は欠かせないと思いますが)提供して、生命保険×Technologyの先頭を走る会社が現れてくるのかもしれません。

日本で注目されている「テレマティクス保険」


ただ、日本でInsurtechが急ピッチで進んでいる分野もあります。それは自動車保険です。「テレマティクス保険」という名前を聞いたことがあるでしょうか。

テレマティクス保険とは、自動車などの移動体に搭載機器を設置して、得られた緻密なデータで保険料を定める自動車保険です。

現在自動車保険は事故歴などによって加入者をいくつかの等級に分け、応じた保険料を定めています。

これは運転の上手な人も、下手ですが偶然事故には合わずに来られた人も、同じ等級として金額差のない保険料を支払わなければなりません。

ここにテレマティクス保険の特徴を生かすことができます。

テレマティクス保険が浸透すると、ここにブレーキの使用数や法定速度の超過回数などのデータを取得することができます。

ほかにも運転手の姿勢やハンドルの握り方、わき見の確率なども測定可能です。

運転者が安全運転寄りなのか、それとも危険運転の兆候のある人なのかの客観的なデータが取得でき、かつ自動車保険会社もリアルタイムで把握できるというものです。

こちらも既にアメリカやイギリスでは導入が進んでおり、日本でも2020年を目安に契約総数の約3割を占めるといわれています。

日本でこの代表格とされているのがスマートドライブ社です。蓄積したデータ(ビッグデータ)を活用し、保険料を算定していきます。

参考:スマートドライブ社

テレマティクス保険は「自動運転」とのコラボレーションが重要

ここに深く関わってくるのが自動運転です。

政府や自動車会社は、2020年の東京五輪までに自動運転の自動車を販売することを視野に入れており、実際に大手自動車が会社は自社CMにて自動運転のイメージを提供しています。

現在の自動車保険はあくまで「人間の運転手」に対してのもの。

自動運転と一言でいっても、完全な自動運転のほかに「一部が自動運転、一部が(これまで通りの)運転」となる可能性もあります。

その時に人力の運転に対して、テレマティクス保険が浸透していくのではないでしょうか。

また、AIによる自動運転も、100%絶対に危険運転をしないとは言い切れません(もちろんそれが理想ですが)。

そこで、自動運転と人力運転の両方を視野に入れた保障内容の保険が支持を得ていくのではないかと考えられます。

まとめ

アメリカやシンガポールを中心に急成長を続けるInsurtech。日本もまた、急成長の企業を生み出す土壌が生まれてきたといえるでしょう。

「保険×AI」という視点とともに、自動運転など世の中の動きを鳥瞰的に巻き込み、新たな動きが商品やサービスとしてユーザーに届けられることに期待です。

このコラムの執筆者

工藤 崇
工藤 崇株式会社FP-MYS代表取締役社長兼CEO

ファイナンシャルプランニング(FP)を通じて、Fintech領域のリテラシーを上げたいとお考えの個人、FP領域を活用して、Fintechビジネスを開始、発展させたいとする法人のアドバイザーやプロダクトの受注を請け負っている。Fintechベンチャー集積拠点Finolab(フィノラボ)入居企業。FP関連の執筆実績多数。東京都千代田区丸の内。


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