老後破産を防ぐ住宅ローンの組み方とは?

住宅ローンの返済がうまくいかず老後破産に陥るパターンが急増しています。

初めて住宅ローンを組む場合、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか?

どうして住宅ローンが老後破産の原因に?

住宅ローンが起因となり老後破産に陥っている人が最近急増しているのには、主に2つ原因があります。

1つ目の原因は、1990年代のローンの組み方にあります。

当時は、頭金なしでとりあえず最長の35年で段階金利の全額ローンを組むのが主流でした。段階金利とは、初めの10年間は金利が低く設定されていて、11年目以降は当初より高い金利となる、返済金額が段階的に上がる支払方法です。

11年目以降、急に金利が上がる時が来て借り換えがしたくても、できなくなってしまうケースが多かったようです。段階金利で初めの支払いを抑えていたため、住宅の評価価格よりローン残高のほうが多く、担保割れしていたためです。

担保割れしてしまうと借り換えができないため、だんだん高くなる金利を払い続けなければならなかったのです。

2つ目の原因は、退職金でローン残金を一括して支払おうとしていた人たちが、退職時に期待通りの額の退職金を受け取れず、計画倒れしてしまったことにあります。

退職金一括でローン残金を支払えなかった方々は、年金をもらいながらローンを支払い続けなくてはなりません。生活が苦しくなり、結果として破産への決断を余儀なくされた、ということです。

このような事態は、なんとしてでも避けたいですよね。

住宅ローンの仕組みについて、一緒にしっかり理解していきましょう。

住宅ローンにはどのようなタイプがあるの?

住宅ローンには大きく分けて3つのタイプがあります。

A)全期間固定金利型

固定金利の中でも最初から返済終了まで金利が変わらない、【フラット35】(民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して作ったもの)というのがあります。

金利は約1.47%~2.22%(2015年3月現在)とずっと変わらないので、支払額も変わらず、支払い計画を立てやすいですね。

金利が低いときに借りれば低金利のメリットがありますが、高金利の時に借りると高い金利で払い続ける必要があります。

B)固定金利期間選択型

当初10年間固定金利や当初15年固定など、金融機関によって異なる年数から選べます。一般的な当初10年間固定金利は、0.85%~1.7%(2015年3月現在)。

【フラット35】よりは当初の金利が低いですが、10年後、固定にするのか、変動にするのか、借り換えをするのかと検討する必要があります。

C)変動金利型

変動金利は、0.539%~1.081%(2015年3月現在)となっています。

変動金利は金融機関によっても違いますが、【フラット35】よりかなり低い設定になっています。

ですが半年または1年ごとに金利の見直しがあり、支払金額が一定しませんし、金利上昇があった場合、支払い額が急に増えてしまう可能性があります。

また、将来の返済額が確定しないという不安もあります。

一番有利なローンタイプはどれ?

老後の生活資金に影響を及ぼさないためには、どのタイプの金利を選ぶべきなのでしょうか?
3つのタイプの金利、それぞれ実際に計算して比較してみましょう。

ここでは3500万円を35年払いする場合(ボーナス返済なし)を例にしてみます。
(金利は2015年3月現在の平均で計算)

A)全期間固定金利型【フラット35】の場合~(金利1.6%)

月々108,887円で、支払総額は、約4573万円となります。

B)固定金利期間選択型(当初10年固定金利の場合)~(金利1%)

初めの10年は、月々98,799円、10年後に金利が2.5%になるとすると、11年目からは117,608円で支払総額は、4714万円となります。

【フラット35】と比べてみると、支払総額で多くなっていますが、10年後の金利によっては、少ない額で済むこともあります。

C)変動金利の場合~(金利0.6%)

計算すると月々は、約92,000円ですが、半年ごとの今後の金利動向によって支払額が変わってきます。

大抵の金融機関は、申し出れば固定金利に変更もできますが、金利の動向に注意が必要ですね。

現在のこの低金利時代は、変動金利で住宅ローンを検討する一番いい時期と考えられます。

今後、金利が上がりそうな場合は【フラット35】で固定金利を選択すると良いでしょう。

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返済スケジュールを組む上での注意点とは?

①退職年齢(60才)、遅くとも年金開始年齢までに完済できるようにしましょう。

今の30代の人は、年金の開始が現行でも65才からです。

今後、70才からもらうようにも変更されかねません。定年は65才まで上がる可能性もありますが、60歳以降は給料削減されパートのような扱いになるかもしれません。

収入が減っていく前にローンの支払いを終わらせたいところです。

②できる限り、頭金を多く用意して、ローンを組む金額を減らすこと。
金融機関によって、100%ローンで組めるとは限りません。
ローンの金額が大きい場合、それに金利がかかれば、結果支払総額は多くなります。

③ボーナスはあてにしない。(余裕があれば繰上げ返済か貯蓄へまわす。)
本来ボーナスは会社の業績によって増減するものです。
転職された場合なども、前職と同じようにもらえるとは限りません。
ボーナス払いを減らすために支払方法を変えることは、借り換えするのと同じです。
費用もかかれば、審査も必要となります。

どこでローンを組むべき?

ローンを組める金融機関にはいくつかありますが、どこで組むのが良いのでしょうか?
それぞれの特徴を見ていきましょう。

1.フラット35と民間金融機関の違い

住宅ローンを借りる際、借主がなくなったら、ローンの残金は払わなくてよくなる「団体信用生命」という生命保険に加入することができます。

フラット35では団体信用生命へ加入は任意です。

加入すると完済までに約180万円かかります。

民間金融機関では団体信用生命は強制加入ですが、無料の場合が多いです。

団体信用生命の中には、病気になって収入が得られなくなったときに、ローンの支払が免除されるといったものもあります。(金利の上乗せなどでその分支払いは増えます)

ガンが心配でといった方には良いかと思いますが、通常の医療保険に入るように、告知事項もあるので、健康であることが大事です。

2.各金融機関の違い

民間金融機関でもメガバンクや、ネット銀行などによって、金利も異なります。
●ローン契約者は定期金利が高い
●月何回までか、振込手数料無料
●繰り上げ返済手数料が、1円からできて手数料も無料
●外貨預金の為替手数料が優遇
など、各社特典があります。金利重視か、手数料重視か、特になるように選びましょう。

住宅ローンを組む前の注意点

①資産価値が減らない物件を選びましょう
駅に近いなど利便性の良い場所、戸建ての場合は日当たりなど土地・部屋の向きもチェックしましょう。

マンションの場合は、縦長やいびつな形でないこと、なるべくバルコニーの幅が広く、柱のでっぱりや梁が室内に少ないことも重要です。資産価値の減らないエリアや物件を選ぶことを意識しましょう。

中古マンションでは、前に住んでいた人が修繕積立金を滞納していた場合、それも併せて払わないといけないケースがありますので、不動産屋さんに確認が必要ですね。

②見落としがちな諸費用も忘れずに
せっかくローン金額を減らそうと頭金のつもりでためていても、意外と諸費用がかかることを覚えていてほしいです。

たとえば、印紙代、不動産登記の費用、マンションの場合は修繕積立金を一括で50万程払わないといけないケースもあります。

③ローンの仮審査前には
家に眠っている付き合いで作ったクレジットカードや、ローンカードやサラ金系のカードがあれば、すぐに解約しましょう。

ローンカードの借りられる枠(与信枠)がたくさんあると、その分ローンの審査に影響を及ぼす可能性があるので、注意が必要です。

住宅ローンを組む上で忘れちゃいけないこと まとめ

①定年または年金がもらえる年齢65歳までに支払いを完了させること。
②できる限り、頭金を多く用意して、ローンを組む金額を減らすこと。
③ボーナスはあてにしない。(余裕があれば繰上げ返済か貯蓄へまわす。)
④健康であること。

いい物件はすぐになくなってしまいますよ、と不動産屋さんは言いますが、焦りは禁物です。
この4点は老後破産に陥らないために覚えておいてください。


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