老後のために毎月いくらずつ貯蓄すれば安心できる?【お金の不安をなくすFPコラム】

こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの横山です(ねこのてFP事務所 代表)。

みなさんは、老後の生活のために貯蓄をしていますか?

しているのであれば、計画を立てて、計画通りに積み立てることができているでしょうか?

最近では、「下流老人」「老後破産」などという言葉も聞かれるほど、老後の生活資金確保に注目が集まっています。

しかし、「じゃあ、いくら貯蓄があれば大丈夫なのか?」ということを理解している人はあまりいないのではないでしょうか。

ここでは、あなたの老後資金がどれくらい必要で、毎月どれくらい貯蓄すればいいかを考えてみようと思います。

ただ、ライフスタイルはひとりひとり異なるため、目安となる貯蓄額を出しているので、それを参考にして下さい。

どうして老後資金が足りなくなるのか?

まず、どうして老後資金が足りなくなってしまうのかからお話しましょう。

老後の生活にあてるお金は、大きく3つの方法で確保します。それは、退職金、年金、貯蓄です。

一昔前であれば、これに加えて親からの相続も期待できたのですが、今では親自身も長生きして多額の老後資金が必要となっていますので、ここでは除きました。

このなかで、一番問題なのが「年金」です。

今後、さらなる少子高齢化で、実質的な年金額が目減りしていきます。厚生労働省の試算では、一定の経済成長が続く過程のもと目標を設定しています。

ただ、その目標が達成できたとしても、2016年現在で30歳前後の人達の年金は、今よりも2割程度目減りする計算になります。

さらに、将来的には年金の支給開始年齢が現行の65歳からさらに引き上げられる可能性も否定できません。

とはいえ、こればっかりはどうにもできません。自分の力で何とかできる「貯蓄」で、早いうちに計画的に貯蓄を増やしていくことを考えるべきでしょう。

老後の生活費シミュレーション

老後の生活費は、実際にどのくらいかかっているのでしょうか?
生命保険文化センターが平成25年度に行った意識調査の結果を見ると、

  • 老夫婦2人が最低限の生活を送るために必要な生活費は平均22.0万円/月
  • ゆとりある生活を送るのであれば平均35.4万円/月

となっています。

それでは、現実にいくらくらいの貯蓄があれば老後の生活が安心なのかを、夫婦2人、老後生活を65歳~90歳までの25年間としたとして、シミュレーションしてみましょう。

【質素な生活ができればいい場合】の必要貯蓄額モデルケース

働き手がひとり共働き自営業
支出(生活費)7,500万円
収入年金収入5,400万円6,600万円2,700万円
自営業者の収入5,000万円
退職金1,500万円2,000万円
差し引き▲600万円1,100万円200万円
必要貯蓄額600万円不要?不要?

最低限の生活を送るためにも、夫婦2人の老後の生活費は7500万円ほど必要になります。

年金や退職金などの収入分を考えても、働き手がひとりでは必要貯蓄額は600万円という結果になりました。

【ややゆとりある生活を送りたい場合】の必要貯蓄額モデルケース

働き手がひとり共働き自営業
支出(生活費)9,000万円
収入年金収入5,400万円6,600万円2,700万円
自営業者の収入5,000万円
退職金1,500万円2,000万円
差し引き▲2,100万円▲400万円▲1,300万円
必要貯蓄額2,100万円400万円1,300万円

生活費を切り詰めることなく、多少の趣味なども楽しみながらゆとりある生活を送りたい場合は、夫婦2人の老後の生活費は9000万円ほどになります。

働き手がひとりでは必要貯蓄額は2000万円以上、共働きや自営業でもまとまった額の貯蓄が必要、という結果です。

(注)シミュレーションにあたっての条件は、次のようになっています。

・「充分な老後資金を確保するため」ということで、「質素な老後生活」を送る生活費25.0万円/月と、「ややゆとりある老後生活」を送る生活費30.0万円/月をベースにシミュレーションをしています。
・年金額は、将来的に目減りしていく分を考慮し、今の水準よりも2割減らした水準で試算しました。
・それぞれのライフスタイルに対応させるため、「配偶者が専業主夫・主婦」、「共働き」、「自営業」の場合に分類して試算しています。

老後の年数65歳から90歳までの25年とする
(平均寿命(※1)よりも長生きした場合を想定)
収入年金働き手はひとりの場合で18万円(※2)
共働き世帯で22万円(※2)
自営業者で15万円(※2)
※ただし、自営業者は75歳で引退し、年金受給開始を遅らせたと仮定
※自営業者の75歳までの収入は、500万円/年と仮定
退職金1,500万円(※3)、共働きの場合2,000万円
貯蓄銀行金利は考慮しない(超低金利のため)
支出生活費質素な老後生活の場合、25万円/月
ややゆとりある老後生活の場合、30万円/月

※1 日本人の平均寿命は、男性80.50歳、女性86.83歳(2014年厚生労働省調べ)
※2 平成27年版厚生労働白書より推定
※3 厚生労働省「平成25年就労条件総合調査」より推定
※4 平成25年度 生命保険文化センターの意識調査を元に推定

あなたのライフスタイルから考えられる必要貯蓄額はいくらになる?

いかがでしょうか。

シミュレーション結果を見て、どう感じたでしょうか。

働き手がひとりであれば、質素な生活をする場合でも600万円の貯蓄が必要という結果になりました。

そして、ややゆとりある生活を送りたいのであれば、共働きや自営業者でもある程度まとまった貯蓄額が必要になります。

しかし、これはあくまでモデルケースを使ったシミュレーションです。

このシミュレーションを元にして、あなたの場合の必要貯蓄額を考えなければなりません。その上で次の2点を踏まえて調整してください。

①あなたの年金額はいくら?

日本年金機構から届く、「ねんきん定期便」を見てみましょう。50歳以上の方であれば、年金の見込み額を知ることができます。

50歳未満の方は年金見込み額が記載されていませんが、会社勤めをしている期間の平均年収が600万円程度で、モデルケースの年金額に近くなります。

②退職金の見込み額は?

退職金は、大企業か中小企業か、しっかり利益が出せている会社かそうでないかなど、いろいろな要因で変化します。

業績のいい大企業であれば、モデルケースよりも多額の退職金をもらえる会社が多いように感じます。

一方、中小企業では、定年まで勤めてもモデルケースよりも少ない場合が多いでしょう。

可能であれば、あなたが勤める会社の「退職金規定」を確認して、計算してみましょう。

他にも、モデルケースから変わってくるポイントがあるかもしれません。

また、90歳よりも長生きする可能性もあるので、その場合にはさらに多額の貯蓄が必要だと考えることもできます。

こういったことを考えあわせると、共働きや自営業者でも、「貯蓄なしで大丈夫」と言い切るのは危険でしょう。

毎月の貯蓄額はいくらにすればいい?

それでは、老後までに、1,000~2,000万円の貯蓄を用意したいとして、毎月の貯蓄額を計算して見ましょう。

貯蓄額1,000万円を目指す場合

現在の
貯蓄額(※)
1か月あたり
必要貯蓄額
30歳300万円17,000円
40歳400万円20,000円
50歳700万円17,000円

貯蓄額2,000万円を目指す場合

現在の
貯蓄額(※)
1か月あたり
必要貯蓄額
30歳300万円40,000円
40歳400万円55,000円
50歳700万円70,000円

※金融広報中央委員会公表 「家計の金融行動に関する世論調査」より推定
※実際の平均値には資産家も含まれているため、平均よりも2割減少させた水準で試算

この結果からわかるとおり、今現在の貯蓄額が平均的な額であれば、老後資金として1,000万円を準備するには1か月あたり2万円貯蓄すればいいということになります。

毎月2万円貯蓄するためには?

では、今の生活で毎月2万円貯蓄できているでしょうか?

また、今の貯蓄額が少ないのであれば、2万円よりも多く貯蓄できる見込みはあるでしょうか?

また、できるだけ多く貯蓄に回すことができれば、よりゆとりある老後生活を実現することができます。そのためにどんなことができるでしょうか。

支出を見直す

まず思いつくのが、「支出を減らす」ことです。

ただ、個人的には、今の生活費を無理に減らすことはオススメしたくありません。

というのも、今の生活を無理に切り詰めすぎるのは精神的につらく、節約するのが苦痛になってしまうからです。

そこで、明らかに出費が多すぎる部分を節約することから手をつけていきましょう。主に、次のような方法があります。

1.通信費の削減

携帯電話の普及で、昔に比べて家計に占める通信費の割合が大きくなっています。

家族それぞれがスマホを持っていて、家にも光回線を引いている人が多くいます。

全部家族契約にして割引を受けたり、パケット通信を実際の使用量に応じた料金プランに引き下げることで通信料金を減らすことができます。

また、格安スマホへの乗換えや、家では光回線のWi-Fiを活用することでパケット通信の使用量も大きく減らすなどの方法も有効です。

2.光熱費の削減

2016年4月から電気小売の自由化が始まりました。来年にはガスの小売も始まります。信頼できる業者で価格が下がるのであれば、積極的に考えてみるとよいでしょう。

3.保険の見直し

なんとなく加入してしまっている「掛け捨てタイプ」の保険(特約で加入している場合も含む)を解約したり、必要な範囲に変更するなどすれば、想像以上に保険料を抑えることも可能です。

収入を増やす

収入を増やす方法もあります。今ある預貯金を、ただ単に普通預金に預けてしまっていませんか? キャンペーンで金利をアップしているときに定期預金に預けるなどすれば、普通預金に預けるよりも多くの利息を得ることができます(それでも十分な利息とはいえませんが)。

ちなみに、定期預金に預けるのは、もうひとつの目的があります。

それは、「余計な出費をしてしまわないようにするため」です。

すぐに引き出せる預金だと、ついつい使いすぎてしまう場合もあります。そうなってしまわないように、すぐには引き出せない預金にしておくのです。

他に、資産運用をする手もあります。

ただ、いくら真剣に投資先を考えても、損失を出すこともあります。

ですから、万が一損失を出しても構わないと思える範囲内で投資するようにしましょう。

強制的に貯蓄に回す

最後の貯蓄手段は、「半強制的に」貯蓄する方法です。

会社の財形貯蓄を利用したり、個人年金保険や養老保険に加入します。財形貯蓄では自動的に給与の一部を財形の口座に入金してくれ、保険を活用した場合では毎月の保険料が老後資金になっていくことになります。

貯蓄するのが苦手な方には有効な手段でしょう。

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上手に貯蓄するためのワンポイントアドバイス

最後に、上手に貯蓄するためのワンポイントアドバイスです。

ここまでで「毎月2万円以上貯蓄したい」ということを書いてきましたが、それにこだわりすぎないようにしましょう。

子供の教育費や不慮の事故などで、一時的に支出がかさんでしまうこともあります。そのため、「どうしても貯蓄できない」というときが必ずやってきます。

けれども、それを思い悩む必要はありません。

余裕がない場合は無理に貯蓄に回さず、その代わりに余裕があるときには多く貯蓄するようにしましょう。

さらに、実は貯蓄のチャンスは60歳前後にやってきます。その頃になると、子供が独立する年齢になります。

独立すれば、子供の生活費や教育費がいらなくなるのです。5~600万円の収入があり、子供が独立していれば、毎月5万円以上貯蓄するのも夢ではありません。

毎月2万円以上貯蓄することを目標にしながら、余計な出費を減らすようにしましょう。そうすれば、長い目で見て「平均2万円ずつ」貯蓄できているようになるでしょう。

リタイアするときに1,000万円の貯蓄ができるように、今の生活を振り返ってみてはいかがでしょうか。

※この記事は、2016年4月時点での情報をもとに作成しています。

執筆者

横山 研太郎
横山 研太郎ねこのてFP事務所代表

富士通株式会社退職後、メーカーの経営サポート等を行う。 現在は、ファイナンシャル・プランナーとして、資産運用を柱としたアドバイスをするだけでなく、学生への金融教育にも取り組んでいる。


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