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保険は貯蓄目的だけじゃない。掛け捨て保険も活用して充実した生活を

2017.04.20

保険に加入するメリットといえば、「万が一の場合に備えられること」です。多くの人が加入している終身保障の生命保険は、万が一の場合の保障に加えて貯蓄性もある商品で、貯蓄性を目当てに終身保険に加入する人も少なくありません。

しかし、近年、保険の貯蓄性はかなり低下しています。むしろ、貯蓄性のある保険に加入しすぎることがリスクになりかねない可能性もあります。

終身保険の貯蓄性がかなり低下している

昔の終身保険は、確実な利回りで資産を増やしながら万が一の保障もあるという一石二鳥の金融商品でした。なぜ、そのように考えられていたかというと、加入してから数年たてば、いつ解約しても「それまでに支払った保険料よりも多い金額で」解約返戻金を受け取ることができたためです。

そのため、今の子育て世代の親にあたる50代以上の人たちの中には、「とりあえず終身保険に加入していれば、急にお金が必要になった時にも安心」と考えてしまいがちです。

しかし、近年の終身保険は、数十年前の終身保険とは全く違う「貯蓄性がほとんどない」商品だと考えるべきです。その理由を説明しましょう。

近年の終身保険には貯蓄性がほぼない理由①
利回りが非常に低下している

まず、利回りが低下していることがその理由です。2017年4月には予定利率の基準となる標準利率が0.25%にまで引き下げられます。つまり、加入者が支払った保険料の運用で得られる(加入者の)利益が0.25%程度だということです。

もちろん、メガバンクの中には普通預金金利が0.001%、定期預金金利が0.01%となっているところもあるため、銀行に預けるよりは高い利回りではあります。
しかし、銀行より高い金利でも、予定利率が低いことにより他のデメリットが生まれてしまいました。

近年の終身保険には貯蓄性がほぼない理由②
保険料が高くなっている

予定利率が低くなってしまったため、保険料が割高になっています。同じ保険金額の終身保険に加入しようとすると、予定利率が低い分だけ保険料を高くせざるを得ないのです。

近年の終身保険には貯蓄性がほぼない理由③
解約すると元本割れするようになってしまった

最も大きなデメリットが、これです。予定利率が下がりましたが、保険会社の経費(人件費やその他のコスト)は同じようには下げられません。

予定利率が半分になったからといって、保険会社に勤める人の給与や店舗の賃貸料を半分にすることは不可能です。かといって保険料をどんどん高くしてしまうと、誰も加入しなくなってしまいます。

そこで、保険料を少しでも安くするために、「解約返戻金を少なく」したのです。昔の終身保険では、加入後数年たてば、支払った保険料以上の解約返戻金を受け取ることができました。けれども、近年の終身保険では、中途解約した場合、解約返戻金が支払った保険料よりも少なくなるものがほとんどです。

こういった理由から、「支払った保険料よりも少ない金額しか受け取れないのは嫌だ」と考える人にとっては、今の終身保険は加入したが最後、死亡するときまで解約できない縛りのある保険になってしまっているのです。

終身保険の保険金額は少なめに設定するべき

上記のように、近年の終身保険はメリットが薄れてしまっているのは事実です。しかし、一生涯の死亡保障が必要ないということではありません。相続人固有の財産としてすぐに使うことができるお金になり、葬儀費用などに充てることができるため、加入することに意味はあります。

では、どれくらいの保障を終身保険で用意すればよいのでしょうか。

保険会社の担当者などから「○○万円くらいの保障が必要です」とすすめられる金額や、ネットでの情報など、参考にできる情報はたくさんあります。けれども、解約しにくいというリスクを考えると、「支払える保険料」から考えてみるのもよいでしょう。

死亡時に必要な葬儀費用などの目安としてよく言われる「300万円」を基準にして、保険料を試算してみました。
30歳男性が終身保険に加入した場合の保険料を、東京海上日動あんしん生命の終身保険でシミュレーションした結果です。

終身保険
死亡保険金 300万円 100万円
年払保険料 98,490円 32,830円
その他の条件 60歳で払済

終身保険は貯蓄性があるため、保険料も高くなりがちです。死亡保険金を300万円に設定した場合と、100万円に設定した場合とで、シミュレーションでは、年払いの保険料で65,660円もの差が出ます。1か月あたりにすると5,000円強、保険料支払いが多くなっています。

「若いうちに加入しないと保険料が高くなってしまいますよ」とアドバイスされるかもしれませんが、早く加入すると、それだけ「死亡するときまで自由に使えないお金」が増えると言いかえることもできます。

そう考えると、収入もまだ多くはなく子育てなどでお金がかかる時期に、多額の保険料が必要になる終身保険に急いで加入する必要はないでしょう。

終身保険を少なくした分を有効に活用しよう

終身保険を抑えた分は有効に活用しましょう。その分を貯蓄に回すのもいいですが、保険を減らした分だけリスクへの備えが少なくなっています。そのため、掛け捨ての保険への加入や資産運用も活用して将来に備えたいところです。

ここでは、掛け捨て保険の活用について考えてみましょう。
終身保険の保険金額を少なくした分、死亡時の保障を定期保険で用意する場合と医療保障を準備する場合のシミュレーションをすると、次のようになります。

終身保険と同じく東京海上日動あんしん生命の保険を使い、下記の条件でシミュレーションします。
・定期保険:保険期間は60歳まで
・医療保険(メディカルKit NEO):入院日額5,000円の終身保障で、保険料は60歳払済

定期保険
死亡保険金 500万円 1,000万円
年払保険料 24,420円 48,840円
保険期間 60歳まで
医療保険(メディカルKit NEO)
入院給付日額 5,000円
年払保険料 29,075円
その他の条件 終身保障で保険料は60歳払済

※月払にした場合は、保険料が多少変わります。

前述の終身保険とあわせて考えてみましょう。
終身保険だけでなく、若いうちに万が一のことがあった場合などにも備えて、定期保険や医療保険にも加入したいところです。

その上で「終身保険300万円+定期保険500万円+医療保険」の合計と、「終身保険100万円+定期保険1,000万円+医療保険」の合計の保険料を比較してみましょう。

終身保険 300万円 100万円
定期保険 500万円 1,000万円
医療保険 5,000円/日 5,000円/日
合計年間保険料 151,985円 110,745円

終身保険の保険金額を抑えた一方で定期保険の保険金額を増やしていますが、それでも年間保険料にして4万円程度、安くなっています。その分だけ、今の生活を切り詰める必要がなくなります。

ただ、保障を減らした分が気になるところです。その分は、しばらくしてから終身保険に追加で加入すれば、保険金額を300万円まで増やすことは可能です。もちろん、都度支払う保険料は高くなりますが、支払う保険料総額はそこまで大きくなりません。

一度に加入する場合 2回に分けて加入する場合
保険金額 300万円 100万円 200万円
加入時 30歳 30歳 45歳
年払保険料 98,490円 32,830円 131,882円
総支払保険料 2,954,700円 2,963,130円

※いずれも60歳払済
※45歳のとき(15年後)も保険料に変動がないと仮定した場合のシミュレーション

15年後であれば、今よりも収入が増えて保険料を支払う余裕も出てきている可能性が高いでしょう。しかも、貯蓄性がある終身保険であれば、15年後に加入したとしても総支払保険料の差はあまりありません。

それならば、今の生活を大切にして貯蓄性のある保険を少なくしても、保険料での損はほとんどありません。健康に気づかって、保険に加入できない状態にならないよう気をつけていれば、今の生活も重視しながら将来にも備えることができるのです。

今の保険は貯蓄性だけを考えていてはいけません

昔のように予定利率が高ければ、保険料が安い上に資産運用の効果も高いため、貯蓄性のある保険に早くに加入する意義があったといえます。

しかし、今の低金利時代では保険料が上がってしまっているがゆえに、保険の使い方が変わってきています。とにかく早く加入するのが正しいわけではありません。今と将来のライフプランを考え、保険料で今の生活が圧迫されてしまわないようにしましょう。

このコラムの執筆者

横山 研太郎
横山 研太郎ねこのてFP事務所代表

富士通株式会社退職後、メーカーの経営サポート等を行う。 現在は、ファイナンシャル・プランナーとして、資産運用を柱としたアドバイスをするだけでなく、学生への金融教育にも取り組んでいる。


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