生命保険の必要性 - お金の参考書

老後資金の貯め方と退職後の生命保険見直しについて

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厚生労働省の発表によると、2015年の日本人の平均寿命は男性が80.79歳、女性が87.05歳となりました。
平均寿命は年々伸びており、日本人が現役を退いた後の時間すなわち老後は、これからもどんどん長くなっていくことでしょう。

こうなると、不安なのが老後の生活設計です。

もはや退職してしまっているので、給与収入はないか、あってもわずかでしょう。
ですから、老後のための準備は周到に進めておかなければなりません。

今回は、保険を使った老後生活の準備について、徹底的に解説します!

も く じ

老後資金はいくら必要?資金計画を考えてみよう

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生命保険文化センターが行った意識調査『生活保障に関する調査』(平成25年度)によると、夫婦2人で老後生活を送るうえで必要と考える最低日常生活費は、平均22.0万円となっています。
ですが、この22.0万円はあくまで最低必要な金額にすぎません。

同調査では、ゆとりある老後生活を送るための費用として、最低日常生活費以外に必要と考える金額についてもアンケートをとっています。

その平均値は13.4万円。

確かに、旅行や趣味に支出したり孫にお小遣いをあげたりというのは、職を勤めあげ子供も育てあげた後を2人で過ごす老夫婦にとっては、かけがえのないことですよね。

ですが、そんなかけがえのない老後生活のために必要な「最低日常生活費」と「ゆとりのための上乗せ額」の合計は毎月平均35.4万円なのです。

35.4万円か~。今の私の手取り収入よりも多いですね。だけど、せっかくそれまで一生懸命働いてきたのだから、「ゆたかな老後」を手に入れたいです!

ところで、私のお給料から毎月社会保険料が天引きされていますが、年金でその「ゆたかな老後」は手に入らないんですか?

う~む。社会保険制度はあくまでもセーフティネット、最低限の生活を保障するためのものじゃからのう。
「ゆたかな老後」の準備には、それだけじゃちと不足なんじゃ。

公的年金で賄えるのはいくら?

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日本年金機構によると、国民年金保険料を25年以上納付した人には、65歳から老齢基礎年金が支給されます。

国民年金の年金額全額は78万100円。
夫婦合計だと156万200円
になります。

ただしこれは国民年金の加入可能年数である40年間(20歳から40歳になるまで)保険料を休まず納付し続けた場合で、免除を受けたことがある人は、その月数に応じて年金額が減額されます。

つまり、国民年金の夫婦合計年金額は156万200円÷12か月≒月額13万円。

「ゆとりある老後」に必要な35.4万円と、国民年金で受給できる約13万円との間には、実に22.4万円もの開きがあるのです。
また、最低必要な生活費とも約9万円開きがあります。

会社員や公務員なら老齢基礎年金(いわゆる1階部分)の上に老齢厚生年金(2階部分)が積み重なり、より手厚い年金を受け取ることができますが、月額22.4万円(最低でも9万円)、年額にして268.8万円(最低でも108万円)という金額が、老後のために準備しておかなければならない金額なのです。

60歳からの余命を25年間と仮定すると、

  • 「ゆとりある老後」のために必要な資金:268.8万円×25年間=6720万円
  • 「最低必要な生活費」のために必要な資金:108万円×25年間=2700万円

また、定年退職する人が多い60歳から、老齢年金の受給開始年齢である65歳までには5年間の開きがあります(繰り上げ受給/繰り下げ受給をしない場合)。

今後は老齢年金受給開始年齢が段階的に引き上げられると見込みですので、これから老後を迎える人はよりいっそうしっかりと老後にむけて資産形成しておく必要があるのです。

自分で貯めておかなければならない資金

自営業者なら6000万円以上!平均余命より長生きするなら、もっと必要なわけですね!そんなに高額なら、若いうちからコツコツと備えておかなきゃなりませんね。

積立定期預金、個人向け国債、積立投資信託、株式投資、確定拠出年金なんて方法もありますが…。

良いのう。いろんな金融商品でバランス良くというのは、資産運用のポイントじゃの。

じゃが、保険商品の中にも、資産形成にはピッタリのものがあるぞい。
保険ならではのメリットもあるから、資産形成の方法に加えてみてはどうかのう。

保険商品に共通する資産形成上のメリット・デメリット

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生命保険会社が販売する保険商品の中には、「貯蓄型保険」と呼ばれる、貯蓄性の高い保険が存在します。

保険による資産形成には、以下のようなメリットがあります。

  • 定期預金よりも高利率で運用できる。
  • 途中解約しなければ元本割れしない。
  • 保険なので、万一の時の保障を得ながら資産形成ができる。
  • 生命保険料控除という年間最大4万円の所得控除が受けられ、所得税と個人住民税をの節税効果がある。


一方、以下のようなデメリットもあります。

  • 元本割れリスクがある投資商品(投資信託や株式投資など)に比べて、利回りが低い。
  • 長い契約期間中、予定利率(利回り)が変わらないので、インフレリスク(物価上昇リスク)に弱い。
  • 途中解約した場合、元本割れが起こる。


まとめると、途中解約で元本割れしてしまうので短期投資には向かない、また株式投資のように短期投資で大きな利益も生まないが、所得控除制度もあるので長期間安定して資産を増やしたいのであれば、うってつけの資産形成方法なのです。

それでは、代表的な貯蓄型保険をご紹介しましょう。

貯蓄型保険の代表格「終身保険」特に「低解約返戻金型終身保険」

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終身保険とは、その名の通り保険期間が終身すなわち一生涯続く生命保険です。

ですから、生命保険会社は必ず発生する保険金支払いのため、責任準備金と呼ばれるお金を運用しながら積み立てており、払込期間終了後には高額な解約返戻金が受取れるのが終身保険の最大の特徴なのです。

保険料払込期間を55歳または60歳にして終身保険を契約し、以後自由なタイミングで解約することで、老後資金を用意することができます。

また現在は「低解約返戻金型終身保険」と呼ばれる、保険料払込期間中の解約返戻金を抑えて、その分それ以後の解約返戻金を増額するという、より貯蓄性を高めた商品が終身保険商品の主流になっています。

終身保険の最大のデメリットは早期解約時の元本割れですので、手を付ける心配のない余裕資金での運用を心がけたいですね。

老後に年金形式で受け取る「個人年金保険」

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個人年金保険はその名の通り、年金を積み立てるための保険です。

例えば毎月1万円のように保険料を積み立てることで、60歳から10年間など年金を受け取ることができます。
この積立期間中は、保険会社が将来の年金支払いに備えて準備金を運用してくれているので、運用されて増えた年金を受け取ることができるのです。

ですが、契約者に万一のことがあっても保険金はそれまでの支払保険料相当額にとどまるので、保障を用意するには向かないというデメリットがあります。
また、やはり途中解約すると返戻率は100%を大きく下回ることになるので、注意が必要です。

より高い利回りを求めるなら「外貨建て保険」

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保険による資産形成で、より高いリターンを得ようとするのであれば、外貨建て保険を選んでみても良いでしょう。
外貨建て保険とは、その名の通り、日本円ではなく外貨で運用する生命保険のことです。

アメリカやオーストラリアは、依然として日本より高金利ですので、米国ドルや豪州ドル建ての保険では、より高い利回りを得られます。

ただし、その高いリターンはあくまでも外貨ベースでのことで、解約時の為替相場次第では、外貨ベースの資産が増えていても日本円にすると元本割れしているという事態もあり得ます。

高いリターンの代わりに為替変動リスクを負うというのが、外貨建て保険の注意点です。

退職後に考えたい生命保険の見直しポイント

保険のメリット・デメリットをよく理解したうえで、他の金融商品とバランスをとって、できるだけ早期から老後資金の準備を始めたいところですね!
とはいえ博士、やっぱり老後は収入が限られるだけに、生活費は圧縮したいです。
最後に何か、良い方法を教えてくださいよ!
ほっほ。やはり、保険の見直しじゃのう!

職業生活をリタイアして老後に突入するというのは、結婚や出産に匹敵する人生のターニングポイントです。

保険見直しで不要な保険をカットすることで、無用な保険料支出を抑え、少しでも「ゆたかな老後」を実現できる家計に近づけたいものですね。

老後に医療保障は必要か

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まずは、医療保険から検討してみましょう。
現役時代には、入院費や手術費に加えて、病気やけがで働けない間の収入保障として、医療保険に加入していたかもしれません。

しかし、老後の主な収入源は老齢年金ですので、収入保障はもはや不要だと言えるでしょう。

また、70歳以上なら健康保険によって医療費の窓口負担額は3割から2割へ縮小されますし、依然として高額療養費制度も使えます。

ですから、医療保障は大幅にカット、保険料が負担になるようならすべて解約することも検討してみましょう。

低解約払戻金型終身保険を、他の保障へ移行させる

老後だからこそ、身体のことは心配。
だからこそ医療保障や介護保障が欲しい、だけど保険料負担は抑えたいという方には、こんな選択もあります。

一部の低解約払戻金型終身保険の中には、保険料支払期間満了前後に終身死亡保障を介護保障や医療保障に移行させることができるものがあります。

例えばAIG富士生命の終身保険『E-終身』は、保険料支払いを終えた後であれば「死亡保障コース」から「年金コース」「介護年金コース」に移行することが可能で、これなら介護や年金の保障を維持し続けることができます。

ただし、こういった特徴のある保険は多くの生命保険会社が販売しているわけではないので、そもそもの加入時に注意して選択しましょう。

まとめ

  • 老後の生活費は、公的年金だけでは不足するので、自分で資産形成する必要がある。
  • 貯蓄型保険は長期運用に向くので、老後の資産形成に大活躍する。
  • 貯蓄型保険には、「(低解約払戻金型)終身保険」「個人年金保険」「外貨建て保険」などがある。
  • 老後に突入するタイミングで保険見直しをして、不要な保険料を抑えよう。

ゆたかな老後のためには、公的年金だけじゃ月々22.4万円も不足!
これはインパクトが強かったですね…。
私も今から準備しておかないと。
う~む。今回は触れなかったが、22.4万円というのは、夫婦の老齢基礎年金の合計額からの不足じゃからのう。

「おひとりさま」じゃと年金額は半分、かといって生活コストは半分という訳にはいかんから、もっと苦しいのう。
未婚はリスクなのじゃ…。

!!

子供に生命保険は不要?本当に必要な保障について解説!

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わが子の誕生と子育ては、人生に大きな喜びをもたらすものです。
ですがその分、子供を育て上げる責任が、親となった2人にのしかかってくるのも事実です。

今回は、そんな子供のための保険選びについて、徹底解説いたします!

も く じ

子供に生命保険は必要なのか

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まずは、新たに誕生した子供に生命保険が必要なのかどうかについて検討してみましょう。

生命保険の役割から考えてみよう

生命保険とは、保険期間中に被保険者に万一のこと(死亡または高度障害状態になる)が起こったときに、保険金受取人である遺族にまとまった金額の保険金が支払われるというものです。

この万一の時に保険金が支払われることを「死亡保障」と呼びます。

例えば、お父さんの収入に頼って生活している専業主婦世帯を考えてみましょう。
もしこのお父さんに万一のことがあれば、それ以後は家族の収入は遺族基礎年金のみ(お父さんが会社員の場合はプラス遺族厚生年金)だけになってしまうので、家族の生活は成り立たなくなってしまうでしょう。

そうならないために生命保険を契約して、お父さんを被保険者、妻や子を受取人として死亡保障を用意しておくのです。

被保険者に万一のことがあって以後の、遺族の必要生活費を用意しておくのが、生命保険なのですね!
あれ?それじゃあ、お子さまにかける生命保険って、必要あります?
はっきり言って、ないじゃろ。
最愛のわが子を失った両親の悲嘆ははかり知れんものじゃろうが、だからといって経済的に困窮するということは想定しにくいの。
確かに。両親が健在なら収入は変わりませんし、お子さまに必要だった分の生活費が減りますもんね。悲しい話ですが…。
それじゃあ、大切なお子さまですから、生命保険よりも医療保険が重要だということになるのでしょうか?
それが、そうでもないのじゃよ。

子供に医療保障は必要か?

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被保険者に万一のことがあったときに1000万円などまとまった保険金が受け取れる生命保険に対し、「入院給付金日額5000円」「手術給付金1回につき10万円」などのように、医療を受けたときに保険金が支払われるのが医療保険です。

医療費は、健康保険など国の公的医療保険制度によって、窓口負担額が小学校入学前は2割、小学校入学後なら3割に軽減されます。

それに、各自治体独自の子供医療費助成制度が、子供の医療費を大幅に軽減してくれるのです。

自治体によって差がありますが、子供が小学生または中学生になるまでの間、医療費や入院費が無料あるいは数百円になるのです。

ですから、子供のけがや病気で大きな手術が必要になったり長期入院することになったりしたからといって、高額な医療費を請求されることはないと考えて差し支えありません。

子供に必要なのは死亡保障よりも教育資金

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子供に保険をかけるのであれば、生命保険や医療保険よりも、「学資保険」を選ぶべきです。

学資保険とは?

学資保険とは、両親のどちらか(または祖父母)を契約者、子供を被保険者にして契約する、生命保険の一種です。

途中で解約すると元本割れしてしまいますが、積立貯蓄をする要領で毎月保険料を支払い続けていれば、満期時すなわち子供の大学入学時に200万円などまとまった資金を受け取ることができます。

そして契約者に万一のことがあれば、以後の保険料支払いは免除され、それでも期日には保険金が支払われるので、子供に確実に教育費を用意できるのです。


一例として、フコク生命の学資保険『みらいのつばさ(J型)』を挙げます。
契約者は30歳男性、被保険者は0歳の男児、満期保険金額100万円として試算します。

  • 月払い保険料:8897円
  • 保険料払込期間:被保険者が17歳まで
  • 払込保険料総額181万4988円
  • 受取総額:200万円(18歳時の大学入学祝金100万円、22歳時の満期保険金100万円)
  • 戻り率:110.1%

子供の高校卒業までは、教育費を毎月の家計から捻出することは難しくありません。
しかし大学の授業料は高額で、特に入学初年度には支出は100万円を超え、家計を圧迫します。
子供が小さいうちから、学資保険を利用して将来の学資金の準備を始めておくと、親に万一のときの保障もあるので安心です。

大学進学に必要な教育資金の積み立てと、親に万一のことがあったときの保障を両立しているのが学資保険なんですね!
しかも、戻り率が110%を超えるって、現在の超低金利な定期預金と比べれば、ずいぶん有利です!
ところで、学資保険に「育英年金特約」というのが用意されている保険商品もあるようなのですが、これは利用する価値があるのでしょうか?
う~む。資産形成に重きを置くなら、育英年金はおすすめせんのう。

育英年金は必要か?

育英年金とは、学資保険に付加できる特約の一種で、月額20万円のように、親の万一以後の養育費を保障するための特約です。

親に万一のことがあっても、子供が未成年の間はなかなかお金は稼げないもの。
まるで親がお給料を稼いでくるように育英年金を受け取れるというのは、一見して魅力的です。

ですが、この育英年金特約の付加はおすすめできません。

というのは、この特約を付加することによって、せっかくの学資保険の貯蓄性が失われてしまうからです。育英年金の金額にもよりますが、返戻率は大幅に下落し、ほとんどの場合は100%を下回るでしょう。

総支払保険料が受取総額を下回るようでは、貯蓄型保険としての魅力は消えてしまうと言って良いでしょう。

それでも養育費を用意したいなら、収入保障保険を

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育英年金のように、万一の時以後も年金形式で継続的に保険金を受け取りたいのであれば、「収入保障保険」(「家族収入保険」とも呼ばれます)がおすすめです。

収入保障保険は定期生命保険の一種で、被保険者に万一のことがあると、以後満期日まで年金形式で保険金を受け取ることができる保険です。

中でもおすすめ商品は、東京海上日動あんしん生命の『家計保障定期保険 就業不能保障プラン』です。30歳男性を契約者としたときの保険料と保障内容を見てみましょう。

  • 月払保険料:8390円
  • 保険料払込期間:55歳まで
  • 保険期間・保険金支払期間:60歳まで
  • 死亡・高度障害になって以後:月額給付金15万円
  • 5疾病で就労不能・病気やけがで所定の要介護状態になって以後:月額給付金10万円
  • 最低支払保証期間:5年間

もし契約者であるお父さんに万一のことがあれば、そのお父さんが60歳になるはずだった時期まで毎月15万円の保険金(5疾病で就業不能または所定の要介護状態の場合は毎月10万円)を年金形式で受け取ることができます。

このため保険金総額は契約期間の経過とともにだんだんと減っていき、40歳時に万一のことが起こったなら、保険金総額は20年間×12か月×15万円=3600万円で、同様に50歳時なら、保険金総額は10年間×12か月×15万円=1800万円となります。

子供の成長に伴って、万一の時の必要保障額はだんだんと減っていくので、遺族の生活費を準備するのに適した生命保険だと言えますね。

この収入保障保険には「育英」や「養育」という文言は含まれていませんが、受け取る保険金を何に使うかは遺族の自由ですよね。
学資保険の育英年金と同様の、遺された子供の生活保障の機能を果たすのです。

また、家計の状況が芳しくなくなって毎月の保険料支払いが困難になってしまった時にも、学資保険プラス収入保障保険という組み合わせが有利です。

なぜなら、学資保険に育英年金特約を付加していた場合には、主契約である学資保険を解約してしまうと自動的に特約部分である育英年金も解約となってしまうので、改めて定期生命保険や収入保障保険に加入しなおすことになります。

もしこの時に健康状態が悪化していると、最悪の場合には新しい保険には加入できません。健康状態が良くても年齢は上昇しているはずなので、やはり比較的不利な条件で新保険に加入するはめになるのです。

その点、学資保険と収入保障保険を別々に契約していたなら、片方を解約してももう片方は契約を継続することができるのです。

まとめ

  • 万一のことがあっても遺族は経済的に困らないので、子供に生命保険は不要。
  • 各自治体が子供医療費助成制度を設けているので、子供の医療保険も不要。
  • 子どものために保険をかけるなら、教育費を準備する学資保険がおすすめ。
  • 学資保険の育英年金特約はおすすめできない。
  • 親の万一の時以後の子供の養育費を用意したいなら、収入保障保険がおすすめ。

子供には死亡保障が必要ないっていうのは考えてみれば当たり前だけど、医療保障も不要だというのには、各自治体の優しさが感じられますね!
うむ。子供は社会の宝物じゃからのう。
じゃから、大学費用も何とかならんもんかの…。

計画的な資産形成が魅力!終身型生命保険のメリット・デメリットまとめ

終身型生命保険のメリット・デメリットまとめ


「保険」という言葉を耳にすれば、将来起こるかもしれない万一の事態に備えておくためのものとお考えになっていませんか?
その発想は、決して間違いではありません。
一家の稼ぎ頭に死亡保険をかけることで、あるいは自宅に火災保険をかけることで、収入が途絶えたり高額な支出が発生したりすることに、備えることができます。

しかし、実は保険の機能はそれだけではありません。
保険の中には「貯蓄型保険」と言って、万一の事態に備えながらも将来のための資産形成に役立つものもあるのです。
今回は貯蓄型保険の中でも、「終身保険」に絞って解説したいと思います。
銀行預金や投資信託だけではなく、保険でも資産形成を始めてみませんか?

も く じ

生命保険について基本を知ろう

生命保険について基本を知ろう

「定期保険」と「終身保険」、まずはこの違いから押さえておきましょう。
どちらも、万一の時(死亡保険なら被保険者が死亡した時)に保険金が支払われる点では同様です。両者が唯一異なる点は、保険期間です。

  • 定期保険
    「10年間」や「60歳満了」のように、保険期間が契約時に決まっており、その保険期間が終了すると自動的に保険契約が消滅する。
  • 終身保険
    保険期間は「終身」つまり一生涯である。それゆえ、解約しない限り保険契約は被保険者の死亡まで継続する。

なるほど!一定期間の保険だから「定期保険」、保険期間が終身にわたるから「終身保険」なんですね!
でもちょっと待ってくださいよ…。
死亡保険が一生涯続くって言っても、生涯の最後にはみんな必ず死を迎えますよね?
うむ。そこが終身保険のポイントなのじゃ!
終身保険は解約しない限り必ず保険金を受け取ることができる。
一方で定期保険は、満期までに幸いにして万一のことが無ければ、保険金はもちろん満期返戻金も受け取れん。
これが「定期保険は掛け捨て」と言われる理由なのじゃ。

終身生命保険のメリット・デメリット

博士、それならみんな、定期保険よりも終身保険を選びませんか?
「保険金がもらえるかどうかわからない」と「絶対に保険金をもらえる」なら、迷う余地はないですよ。
ほっほ。そこだけ見ると、確かにそうじゃの。
じゃが、保険料を比べてみても、はたして同じことが言えるかの?

オリックス生命の「定期保険FineSave」「終身保険RISE」の保険料を比較してみましょう。
契約年齢30歳、男性のもので保険料試算しています。

定期保険Finesave 終身保険RISE
保険期間 10年満了 終身
保険料払込期間 10年 60歳払済
保険金額 1000万円 1000万円
月額保険料 1830円 1万8380円

月額1830円と1万8380円、支払う保険料には実に10倍もの差があることが分かりますね。

一家の稼ぎ頭に万一のことがあったときのために遺族の生活費を保険で用意するとなれば、必要保障額は1000万円では不十分なことが多いでしょう。
終身保険で2000万円、3000万円という必要保障額を用意するとなれば、支払月額保険料は3万円~5万円にも上ることになり、これでは毎月の支出に占める保険料の割合が高くなり家計を圧迫してしまいます。

なるほど。少ない保険料で万一に備えるという保険本来の機能が目的なのであれば、定期保険の方が向いているということですね。
じゃあ、終身保険のメリットはどこにあるのでしょうか?
うむ。高額な解約払戻金じゃの。

終身生命保険のメリット

メリット① 高い払戻率

終身生命保険のメリット


終身保険の最大の魅力は、高額な解約払戻金(「解約返戻金」ともよばれます)にあります。
そもそも終身保険は、解約しない限りかならず保険金支払いが発生する保険でしたね。
ですから、生命保険会社は終身保険の保険金支払いのために、高額な責任準備金を積み立てています。
この責任準備金というのは、将来の保険金に充てられるわけですから、生命保険会社が積み立てている時点ですでに、保険契約者の資産であると言っても過言ではありません。
ですから、責任準備金の一部は解約時には解約払戻金として契約者に還付されるのです。
そして、この責任準備金はただただ積み立てられているのではなく、生命保険会社が運用しているので、必要経費が差し引かれるものの、少しずつ増えていくという性質を持っています。

それでは、先ほどのオリックス生命「終身保険RISE」を例に、解約払戻金がどれほどになるのかを見てみましょう。
保険金額は500万円、男性が30歳時点で保険料60歳払込満了という契約で「終身保険RISE」に加入するというプランです。
この場合、月額保険料は9240円となります。

年齢 経過年数 払込保険料総額 解約払戻金 払戻率 定期預金積立複利
40歳 10年 110万8800円 79万9500円 72.1% 100.045%
50歳 20年 221万7600円 169万4200円 76.3% 100.095%
60歳 30年 332万6400円 385万6300円 115.9% 100.145%
70歳 40年 332万6400円 422万2850円 126.9% 100.245%
80歳 50年 332万6400円 454万7450円 136.7% 100.345%

※比較対象として、メガバンクの定期預金金利0.01%で30年間積立し、その後も定期預金を更新したときの複利を最右列に掲載。


終身保険RISEは、「低解約払戻金型終身保険」と呼ばれている、近年主流となっているタイプの保険です。
この保険は、一般の終身保険よりも低解約払戻期間(保険料払込期間)中の払戻率(「返戻率」ともよばれます)が低く抑えられている代わりに、その期間経過後には払戻率が高くなるという特徴を持っています。
それでは、上の表を見てみましょう。
保険料払込期間である60歳までの30年間に解約すると、大きく「元本割れ」してしまいますが、低解約払戻期間経過直後の払戻率は115.9%で、その後も払戻率は126.9%、136.7%とどんどん上昇していることが分かります。
一方で現在のメガバンクの定期預金金利は0.01%。
50年経過しても複利で1%も殖えない定期預金積立と比較すると、終身保険の資産形成効果が非常に大きいことがご理解いただけるでしょう。
これが、終身保険が「貯蓄型保険」だと呼ばれる理由です。

メリット② 保障を得ながらの資産形成

それに、「終身保険RISE」の上記のプランの場合、解約しなければ万一の時に500万円の保険金が受け取れるということも忘れてはなりません。
不慮の事態に備えながら資産形成ができるというのが、終身保険のメリットなのです。

メリット③ 税金対策

また、資産形成するとは言っても生命保険であることには違いないので、生命保険料控除という所得控除が受けられ、所得税と住民税を圧縮できます。
また、保険金受取人を子や孫といった相続人にすることで非課税枠が設けられ、相続税対策にもなります。
これらの節税効果があるというのも終身保険のメリットだと言えるでしょう。

メリット④ 心理的資産形成圧力

他には、全期間元本保証される定期預金などと違って、保険料払込期間中に解約すると大きく元本割れするという特徴から、途中解約したくないという心理的圧力がかかり、半強制的に資産形成ができるというのも、メリットだと言えばメリットなのでしょうか。

終身保険のデメリット

終身保険のデメリット

もちろん、世の中に良いことづくめで悪い点がないというものはありません。
終身保険にも、デメリットは存在します。

デメリット① 途中解約による元本割れ

まずは、保険料払込期間中に途中解約してしまうと、大きく元本割れしてしまうという点が挙げられます。
住宅のリフォームや子供の教育など、人生には死亡や病気以外にも予期せぬ大きな出費が発生する可能性があります。
まとまった資金が必要になって、途中解約せざるを得ないこともあるでしょう。
そんなときに元本保証がないというのは、やはり資産形成上はリスクであると言えます。

デメリット② インフレリスク

また、資産形成の面では「見えない元本割れ」というリスクを考える必要があります。
例えば先ほどの「終身保険RISE」のプランの場合、50年後の払戻率は136.7%でした。
ですがもしこの50年間に、物価が50%上昇(インフレ)したとすれば、それはもはや「資産が殖える」とは言えないでしょう。
そして、50年間という期間は、物価がそのくらいは変動するには十分すぎる長さなのです。
このインフレによる資産の目減り、そしてその可能性が十分ある契約期間の長さというのも、終身保険のデメリットです。
ただし、このリスクに対応する、「変動型終身保険」という保険商品も存在します。

デメリット③ 高額保険料

最後に、前半で解説したことですが、単に死亡保障を得たいだけならば、定期保険と比較したときの保険料の高さというのもデメリットに数えて良いでしょう。

まとめ

  • 終身保険は保険期間が一生涯のため、必ず保険金を受け取ることができる。
  • 終身保険は定期保険と比べると、非常に保険料が高額になる。
  • 終身保険は高い解約払戻金が魅力で、このために資産形成に向く。
  • 終身保険による資産形成には、元本割れリスクやインフレリスクといったデメリットがある。

うーん。終身保険は貯蓄性と高い払戻率が魅力だけど、さまざまなデメリットもあるんですね…。
資産形成には、投資信託や不動産投資といった資産運用、今後は個人型確定拠出年金という選択肢もあるし、どう活用したら良いのか、混乱しちゃいますよ…。
うむ。そこはやはり、お金の専門家に相談してはどうかのう。
保険だけ、投資だけ、年金だけ、という偏った資産形成はおすすめできん。
じゃから、全分野に見識あるファイナンシャルプランナーに相談してみるのが良いぞ。